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Career Design Seminar in USA Autumn 20152015.11.12

MIT Sloan - CAREER DESIGN SEMINAR in US Autumn 2015昨年に続き、秋の気配が日に日に深まる米国トップスクールのキャンパスを訪れてきました。2015年の新入生について、今回訪問し、お目にかかることができた8校では増加に転じたところが多かったのですが、ケロッグが13名、ハーバードが14名と多くなった一方で、わずか2~3名と少し寂しくなってしまった学校もありました。11月末までには、海外ビジネスクール全体の日本人留学生数調査がまとまる予定です。その結果と考察は、また別途お伝えしたいと思います。

今回の訪問では、過去になかった日本人MBAの質的な変化を大いに感じました。その中で、以下のようないくつかの気付きがありました。

1)多彩な経験が生み出す、次世代の多様性

chicago - CAREER DESIGN SEMINAR in US Autumn 2015キャリアマーケットでは現在、MBA求人が過去最多となっています。その理由は、外資・日系、あるいは業界に関わらず、経営者求人やビジネスリーダー求人、さらにはその候補者求人が出るようになったことにあります。さらにベンチャーや大手だけでなく、今までニーズのなかった中堅企業などからもその要請は高まっています。このような様々な求人が企業側からMBA保有者に寄せられる一方、MBA合格者の過去の経験もまた、多彩になってきました。

アフリカでビジネスを立ち上げた方、発展途上国で医師として病院設立に関わった方、ベンチャー企業を起業して売却してきた方、アジアでビジネスを経験した方、会計士、弁護士、研究者、エンジニアなど。官庁出身者や企業派遣生についても、また私費留学生の中にも、留学前にすでにグローバルビジネスに関わり、大きな実績と自信を持っている若者が明らかに増えています。多様な経験を持った人材が、異なる文化や価値観を交わらせることで多様な議論を重ね、さらに多様な社会に出ていく…未来へのトランジション、変化への投資がまさに“MBA”なのだとの思いを強く持ちました。

2)目的を持つ留学と、持たざる留学

HBS - CAREER DESIGN SEMINAR in US Autumn 2015MBA留学生は、必ず出願時にObjectivesと呼ばれる課題に対して、自分なりの将来の展望とMBA留学への志望動機をEssayとして提出します。将来のキャリアゴールについて、それぞれの思いを入学前に一度書き上げるわけですが、Essayはあくまで合否を左右する提出物であり、合格するための内容を書くことになります。提出したEssayとは別の、本当の意味での「留学の目的」について、留学生が以下の3つのカテゴリーに分かれているように感じました。

#1 MBA直後のキャリアイメージやキャリアゴールを明快に持っており、それに向かって突き進んでいる人
全体の2割程度の印象。将来、起業や家業継承、またはグローバル企業経営などを目指しており、新規事業や特定の社会問題の解決に対する強い思いを持っている。以前のMBAと比較して、このカテゴリーの人材が格段に増加した。

#2 長期のプランはまだ漠然としているが、MBA卒業時のテーマは持っている人
全体の5割程度の印象。卒業後のキャリア希望は、海外勤務、投資銀行、VC、PE。または戦略コンサルなどのコンサルティング業。卒業時の目的は持っているが、カリキュラムが始まったり、インターンを経験したり、本格的な就職活動を始めたりする中で、タイムラインによって短期の目的が変わっていく場合が多い。

#3 あえて短期の目的も長期のキャリアゴールも持たず、留学期間を経て自分の可能性がどこまで高まるのか、あるいは何か新たなチャンスがあるのか試している人
全体の3割程度の印象。過去にビジネスで確固たる実績のある人、つまり既にひとつのキャリアとして何事かを成し遂げた人が、さらにその先を目指すためにMBA留学をしている。例えば、20歳前後でキャリアのゴールとしていた医師・会計士・起業・海外ビジネスなどを実現させた人など。あえて目的を持たず、自由な自己成長を楽しもうとしている姿勢が特徴的。このカテゴリーの人材も増加。

wharton - CAREER DESIGN SEMINAR in US Autumn 20152000年以前であれば、目的やキャリアゴールを持たない留学などありえなかったかもしれません。しかし長銀、アンダーセン、リーマンブラザーズなどの破綻に象徴される大きな経済ショックが起き、パラダイムシフトが何度も起きている昨今。そして、留学準備中からMBA取得後の新しいキャリアをスタートさせるまでの空白は3年以上。変化の激しい時代を生きる35歳以下の世代にとっては、#3のような形で将来のキャリアデザインについて白紙の近い形で自己成長を目指し、卒業時に巡ってくるチャンスを待つというスタイルも当然なのかもしれません。そうしてチャンスを掴み、キャリアを構築していく人が増える方が、今後は強い社会になれる要素が高いのではと思いました。

kellogg - CAREER DESIGN SEMINAR in US Autumn 2015 いずれにしても、#1のカテゴリーに属する2年生の中で、すでに第一志望の企業からオファーをもらい、進路を決定した人が少なくないのには驚きました。10月の時期にすでに進路を決めている人がこれほどいることは、とても珍しいと思います。ただそのような方であっても、自分の可能性を閉じることなく、キャリアの選択肢や将来の可能性について知っておこう、という姿勢がほぼデフォルトとなってきました。これはとても良い流れだと思います。

3)先駆的キャリアの可能性

前述した#1の方々のように、長期のゴールにむけて最短距離でキャリアを進んでいく場合も、#2の方々のように、短期的な目的は持ちつつMBA留学中に長期のキャリアプランについて考え、試行錯誤しながらキャリアの意思決定を行う場合でも、キャリア開発上は特に問題はありません。きちんと留学中に学び、キャリアについて考え続けるなら、時代から取り残されるような職に就くことはないでしょう。#3の方々のように白紙の状態で可能性を探っていく場合には、逆に当人の経験からは発想もできなかったような、時代の先駆的なニーズや新しいキャリアに出会う可能性も高いと感じました。


mit - CAREER DESIGN SEMINAR in US Autumn 2015以上が、今秋のツアーで得た私自身の感想です。

ツアーから帰国した後、訪問したクライアント企業で「やはりMBA保有者は成果を出してくれている。MBAを再評価したい」というお声を複数伺いました。MBA求人はまだまだ増えていきそうです。MBAを評価、あるいは再評価する経営者の多くは、ご自身がMBA保有者の場合が非常に多く、やはり「MBAを正しく評価できるのはMBA」ということなのでしょう。現在留学されている皆さんには、このマーケットの追い風を活かし、素晴らしいキャリアを構築してほしいと願っています。

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