MENU
- MBA転職・外資系求人(HOME)
- イベント
- 海外セミナー
- CAREER DESIGN SEMINAR in USA Autumn 2008(2008/10/01~10/12)
イベント海外セミナー
CAREER DESIGN SEMINAR in USA Autumn 2008(2008/10/01~10/12)2008.10.29
2008年10月1日(水)~10月12日(日)の期間、アクシアム代表の渡邊光章、キャリアコンサルタントの室伏智子・山川睦の3名が全米をまわり、トップ・ビジネススクールを中心に22校を訪問させていただきました。各地ではキャリアデザインセミナーや個別相談を実施し、多くの留学生の皆さん、またキャリアマネジメントオフィスの方などにもお目にかかることができました。
今回、セミナー/個別面談を実施したビジネススクール
School
Harvard University |
Massachusetts Institute of Technology |
University of Pennsylvania: Wharton |
New York University |
Columbia University |
University of Chicago |
Northwestern University |
University of Michigan |
Indiana University |
Purdue University |
Georgetown University |
University of Virginia |
University of North Carolina |
Duke University |
Emory University |
University of Texas at Austin |
Thunderbird |
Stanford University |
University of California, Berkeley |
University of California, Los Angeles |
University of Southern California |
Claremont Graduate University |
今秋のUSツアーを終えて
マクロ経済と、ミクロなキャリア経営
今回は、リーマン・ブラザーズやAIGの破綻が起きた直後の渡米となり、ツアー中には三菱UFJフィナンシャル・グループがモルガン・スタンレーへ出資するという発表も行われました。連日報道されるアメリカのサブプライムに端を発した大手金融機関の破綻は、金融業界への不信、株価の大幅下落、アイスランドの破綻など世界規模の問題にまで拡大していきました。有名メディアの表紙には「大恐慌」の文字が躍り、企業経営者も消費者も、景気の後退を否応なしに受け入れざるを得ない中でのツアーとなりました。
これらの世界規模での経済変化が、MBAの方たちのキャリア形成にどのように影響してくるのか…MBA留学生の皆さんと一緒に深く考え、読み取ろうとした2週間だった気がします。なかなか日本で実務についているとマクロな視点から考えることが疎かになりがちですが、期せずしてアメリカの最高学府で学ぶ皆さんの視点、価値観に接する好機となりました。中には留学前から既に、金融/経営/コンサルティングなどの分野でのプロ、といった方もおられ、次々に起こる出来事について議論をしていると、その鋭い視点や分析力、高い洞察力に感じ入ることもしばしばでした。
連続するマクロ経済の不確実・・想定外の事態が生じる中で、ミクロな存在である一人ひとりのMBAが個としての最適解を求めようとする行為は、卒業後の就職、さらには長期のキャリアを決定する大きな要因となるでしょう。そしてその行為・努力が個々人のキャリアに与える意味は、平時に比べて格段に大きくなり、その重要度が高まっていると実感しました。2008年~2010年、まさに混迷の時代のアメリカに留学する意味の深さを、痛感してしまいました。
MBA求人市場の変化
現地で私たちは、日本におけるMBA人材マーケットの情報を、現実的な変化としてお伝えしていきました。具体的には、金融関連における求人がこの春から夏にかけて20%にまで減少したこと。しかし、逆に残ったこの20%の求人は、優秀な人材の獲得に非常に積極的であること。過去にないほどプロとしての経営者、マネジメントリーダーが求められていること。経営における企業財務、資本政策などの重要性が高まり、その内容が著しく変わってきていること。日系大手、企業再生に関わる求人が活発になってきたこと。次世代ビジネスリーダーの育成に、本気で取り組む外資系企業経営者が見受けられ、有識者の多くが日本の問題を「リーダー不在」であると強く意識していること、などをお伝えしました。
また、2008年度に卒業したMBA諸氏の就職・転職状況の総論として、金融機関のオファー取り消しやオファーの直前辞退が起こっていること、そして秋口まで就職活動を継続している方がいるが、これは2005年から2007年までの売り手市場の時には見られなかった状況であるともお伝えしました。
1998年の日本で50年の歴史を持つ日本長期信用銀行が破綻し、2002年のアメリカで100年の歴史を持つアーサー・アンダーセンが破綻した時期と照らし合わせても(リーマン・ブラザーズの歴史が150年であることからしても)、その規模の大きさ、問題の深刻さは計り知れません。夏頃までは「いよいよ人材マーケットが転機を迎えた」という程度の状況でしたが、10月、まさにこのツアー中に一機に「買い手市場」に変貌してしまったといえます。
ギャップ
リーマン・ブラザーズやAIGの破綻が確定した直後、G7主要各国の中央銀行は、協調して金融不況が生じないようドラスティックな決定を行いました。まさに世界経済が大きく変わろうとしている中、危機の震源地・アメリカにあって、あまりに大きなこの出来事に、一年生は事態をまだまったく咀嚼できていないようでした。始まったばかりのクラスをこなすことで精一杯というのを考慮しても、現実社会で起きていることと自分のキャリアがどう関係してくるのか、自分の進むべき道は当初の予定どおりでいいのかなど、まだまだ考えが及んでいない状態です。厳しい言い方になりますが、あいかわらず売り手市場のままの考え方、展望しか持てていない学生が大半、というのが感想でした。
一方、2年生は、周囲のアメリカ人たちが浮き足立っているにもかかわらず、極めて冷静に事態を受け止めていました。さすがにインターンシップ経験を済ませて学校に戻ってきているだけあって、企業の現実を認識し、また今後に備えて学生同士のネットワークなどを通じて情報収集を積極的に行っていました。 11月・12月と、さらにマクロな変化が起こり、それらが自分たちのキャリアにどのように影響してくるか、継続的に見極めようという姿勢が見受けられました。
このような学年による差異のほか、上位校と中位校以下、私費留学生と企業派遣生という枠組みの中にも、いくつか差異・変化が見られました。
上位校が持つ情報力の源泉は「多彩・多数のインターンシップ経験者の実際の経験談」「卒業生のネットワーク」「教授たちの助言」などから形成されているのですが、上位校以外ではこれらが明らかに不足しています。そのせいか、上位校以外ではいまだプライベートエクイティーの人気が高止まりしていたり、金融希望者が多かったりする状況が見られました。
また、例年以上に企業派遣生の方のご相談が増えました。これは転職を直接的な目的とした相談というよりも「自社に戻った場合にいかにキャリア形成しておくべきか」「MBAって本当に価値があるのか」「自分たちは市場で求められているのか」といったものが主です。実際に転職活動につながる人が増加する可能性はありますが、他方、「自社に戻ったほうが面白くなる」「外の世界よりも安心」という判断を行う人もいると思います。
いずれにしても、個人にとっては厳しい方向へ変化しそうな人材マーケットの状況が、かえってキャリアに関する判断・決断をしやすくしていくともいえます。
本人留学生数
ツアー中に感じた最も大きな問題は、日本人留学生の総数が大幅に減少してしまったことです(参照:日本からのMBA留学生の推移)。特に上位校のほぼ全てで軒並み学生数が減少するなどということは、この20年で初めてのことです。上位校ではネイティブ並みの英語力が求められてきており、受験生がTOEFLのスピーキングテストで合格点を取れなくなってきていることが、その一因ともいわれています。日本人にとっては、上位校の合格難易度が高まっているようです。
また、企業派遣生の総数に大幅な変化はないものの、私費留学生が減じていました。上位校に多かった企業派遣生が中位校に流れ、その分、私費留学生が中位校の枠から減ってしまった印象があります。中堅ビジネススクールでは、特に企業派遣生を優遇しているようにも感じられました。日本人留学生数については、今後も調査を継続し、調査の精度を高めていきたいと考えています。
2009年の就職戦線
年のMBA就職戦線についてですが、MBAの需要は金融機関では既に激減しています。コンサルティング業界でも減っており、事業会社でも今後は減少が見込まれます。採用側は、少ない枠に対し、その対象を絞り込んで、より優秀な学生を採用しようとするでしょう。早期にオファーが出てそれを受け入れる人と、長期に活動しつつも、なかなかオファーまでこぎつけられない人という二極化が進むものと思われます。
以上のような状況の中で大切なのは、まず「大学卒業時の就職活動は忘れる」ことです。あくまでもプロフェショナルな人材として人材マーケットに身を投じるのであれば、単に「会社に就職する」という意識は捨て、自分の過去・未来をしっかり見据えてキャリア機会を選択する、という考え方に切り替えなければなりません。しかも、自分に適した時間・タイミングというものも視野に入れつつ、選ぶことが重要です。
University of Pennsylvania: Whartonまた、厳しい市場であっても「会社に選ばれるように」「選ばれれば安心」と受身になってしまうのではなく、自ら選ぶことのほうが重要です。早期に決めるもよし、卒業してから決めるもよし。しかしながら必ず、今後のキャリアに対する自分なりのしっかりとした目論見、戦略、願わくはビジョンを持って、判断・決心をしていただきたいと思います。
市場変化の材料が多いときに合理性だけで決めようとする人は、「情報不足に対する恐れ」「情報過多による混乱」のいずれかにより決心が停滞し、誤認も生じやすくなってしまいます。逆に、市場変化の材料をしっかり捉えつつ、気分や価値観に属する基準で自分なりに組み立てられる人は、不要な情報を排除し、自分の信条や可能性を信じて迅速に行動・決心することができます。現在の状況は、前者のような人を置きざりにして、アドバンテッジを生み出す好機ともいえます。後者は、世に言う楽観主義者なのかもしれませんが、楽観のみで成功が導かれるわけではなく、正しい情報、ビジョン、考え方がその基盤となっています。
今回のツアーでは、留学したすべての人が5年後10年後、さらにもっと先の将来にも、振り返って「あの時は本当に大変だったが、その中でこんな決心をしたから、今の自分があり社会がある」といえるように、アクシアムのスタッフ一同、記憶に残るサポートをしたいと決意を新たにいたしました。
お問い合わせ
本イベントについてのお問い合わせは、下記連絡先までお願いいたします。
株式会社アクシアム イベント事務局
Email:event@axiom.co.jp