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イベントキャリアフォーラム
シーガイアの丸山康幸社長が語る「プライドの復活~シーガイア再生への道のり~」2006.12.02
転職・キャリア開発サイト「新展地」を運営する人材紹介会社アクシアムでは、12月2日(土)、六本木・泉ガーデンギャラリーにて『プライドの復活~シーガイア再生への道のり~』と題したキャリアフォーラムを開催いたしました。
基調講演は、「フェニックス・シーガイア・リゾート」を復調に導いている丸山康幸氏。社長兼最高経営責任者として携わっておられる企業再生の現場や、現在のTOPマネジメントに至るまでに、ご自身が辿ってこられたキャリアの歴史についても熱く語っていただきました。
オープニングスピーチ
株式会社アクシアム/代表取締役・キャリアコンサルタント 渡邊光章
皆さん、本日は土曜日の日中にも関わらず、多くの方々に足をお運び頂き、感謝しております。まず、簡単に自己紹介をしたいと思います。簡潔に、ひとことで我々アクシアムをご説明するなら「エグゼクティブ・サーチ・ファーム」という言葉があてはまります。
つまり、求人企業からポジションを受託し、「こんな人材がほしい」という要望を受け、その要求に応えうる優れた人材をサーチする…という仕事をしています。と同時に、自らキャリアを開発したい・高めたいという前向きなビジネスパーソンに対し、弊社のコンサルタントがキャリアコンサルティングをご提供しています。ご相談者と一緒になってキャリアの展望を洗い出し、その実現に向けてアドバイスを行ったり、ご希望があれば具体的なポジションのご提案を行っているのです。
これが、我々アクシアムの日々の仕事です。では、何故そのような会社が、今回のようなイベントを主催しているのでしょうか。その理由は、我々が掲げるミッションとビジョンにあります。
AXIOMミッション:
「より多くの人々が展望をともなった職業経歴を実現できるよう継続的な支援を提供し、産業社会の活性化に貢献する」
AXIOMビジョン:
「日本を担うビジネスリーダーを創出するトップ・サーチファームになる」
壮大なことをいう会社だなあ、と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、我々は、本気で取り組んでいます。そこで、このミッションとビジョンを達成すべく始めたのが、昨年11月に開催した第一回のキャリアフォーラムでした。
第一回は「次世代マネジメント・リーダーシップ論」と題し、世界的ビジネスリーダー輩出企業として名高いGEの日本代表である伊藤信彦氏、インシアードの助教授を経てリーダーシッププログラムを提供するNPO法人ISLの代表理事となっておられる野田智義氏をお招きし、パネルディスカッションを行いました。まさに、いま日本を担っておられるビジネスリーダーの方、あるいはこれから日本を担っていこうという未来のリーダー候補の方々に、有意義な時間をお過ごしいただけたと自負しています。
そして、第二回となる本日。お招きしたのは、フェニックス・シーガイア・リゾートを率いる丸山康幸社長です。ご承知のとおり、フェニックス・シーガイア・リゾートは2001年に破綻をしました。今から約一年半前、そんな同社へTOPマネジメントとして就任したのが、丸山社長です。
一見、しり込みしてしまいそうな困難な場へ、何故あえて行かれたのか。またご就任以来、驚異的な復活をみせているその経営手法とはどんなものなのか。現実の“経営”の現場や“企業再生”のリアルな姿を、ぜひ皆さんに知って頂きたいと考えて今回の講演のお願いをしたのです。
また、丸山社長にご依頼した理由はもうひとつありました。現在のポジションに至るまでに辿られたご経歴が、非常にユニークだったからです。日系の大手商社、Northwestern MBAへの留学、外資系企業への転身、日系の生命保険会社の再生、長野県庁でのノンプロフィットマネジメント…丸山社長は様々な環境、様々な立場、様々なビジネスの場で学び、結果を出してこられました。
そんな丸山社長のご経験や知見、価値観を語って頂くことは、本日お越しのビジネスリーダーの皆さん、そして未来のリーダー候補の方々に、非常に意義深いことだと思います。このあたりのお話は、特に第二部でたっぷりとお伺いしたいと思います。ぜひTOPマネジメントが語る再生のお話、そしてTOPマネジメントのキャリア変遷をお聴きいただき、多くの発見をしていただければ幸いです。今日のこの場が、皆さんの日々のお仕事、あるいはキャリア形成の一助となるよう願いまして、わたくしの開会の挨拶とさせていただきます。
第一部:基調講演『プライドの復活~シーガイア再生への道のり~』
フェニックスリゾート株式会社/社長兼最高経営責任者 丸山康幸氏
皆さん、こんにちは。丸山康幸と申します。本日はせっかくの土曜日でもありますし、皆さんに少しリゾート気分をお届けしたいと思い、シーガイアの紹介VTRを持参しました。しばしご覧いただき、シーガイアの現状を知ってもらえればと思います。
~約6分のビデオ上映~
いかがでしたでしょうか。一流の建築家やデザイナーが造った壮大な施設であることは、理解いただけたと思います。ですがまず、シーガイアのお話に入る前に、簡単に私が何をやってきた人間かをご説明したいと思います。
私の社会人としてのスタートは、日系の商社でした。オーストラリアやチリなどの山を開発し、鉄鉱石を日本に持ってくるという仕事をしていました。その後、ちょうどジャック・ウェルチがリーダーをしていた時代に、縁あってGEに入り、ビジネス・ディベロップメントの部門で働きました。ある製造部門のアジアリーダーを務め、97年には成田を23回も利用する生活をしていました。
99年には、GEが提携していた東邦生命(のちのGEエジソン生命)の再生に携わり、セールス部門責任者を約3年間行いました。そのとき、あるアメリカ人の上司に「本当に私でいいのか」と尋ねたところ、「丸山は何も保険業界のことを知らない。だからこそいいのだ」と言われたことが今でも印象に残っています。
そして2003年、ひょんなことから田中康夫前長野県知事と知り合い、税金を無駄に使いたくないという点、官僚組織のあり方が問題の根源であるという点で一致し、長野県へ行くことにしました。いつかノンプロフィットの世界で働いてみたいという以前からの思いも、決断につながったのかもしれません。長野で産業・雇用部門の責任者(部長)として2005年1月まで働いた後、いよいよフェニックス・シーガイア・リゾートに関わることとなったのです。
「プライド オブ シーガイア」のスタート
2005年2月、私が赴任したとき、シーガイアは爆弾が爆発寸前の状態、つまり2度目の破綻寸前のような状態でした。確かにGOP(粗利益)を中心にみれば右肩上がりではあるものの、EBITDA(償却前利益)は依然として赤字。このままでは一刻の猶予もないと、シーガイアのオーナーであり、私の所属でもあるリップルウッドの役員たちに訴えました。そして、私自ら社長兼CEOとして再建の指揮を執ることにしたのです。
まず行ったのは、ホテルなどの施設運営を委託していた米・スターウッド社との契約をフランチャイズに変更すること。そして、当時東京にあったオフィスを閉め、私を含めて経営幹部も宮崎を拠点に仕事をすることにしました。また会社の指標をGOP(粗利益)からEBITDA(償却前利益)に変えました。
それから、これもまさにトップダウンで行ったのですが、企業理念ともいえる「プライド オブ シーガイア」(以下、POS)を策定し、それに基づいた方策を実行していくことに。私が宮崎に赴いてまず感じたのは、現場の「自分たちが運営している」という実感の乏しさ。これを変えたい、ぜひ誇りを持って働ける場にしたいと思って決断しました。
- 「日本最高の国際級リゾートを目指す」
- 「顧客・株主・地元に誇れる会社、従業員・家族が誇れる会社になる」
-
- 一流リゾート並みのコスト構造にする
- 変革実行中に、お客様のサービスに影響を及ぼさない
- 中長期の成長を絶対に妨げない
- 一流の経営手法のみを導入する
POSチームを編成
約一年半前、私はリゾートビジネスに関して、まったくの素人でした。その私が現状を変えていくには、まずビジネスの実態・シーガイアの実態を把握しなければなりません。私は23のすべての部門と2~3時間のビジネスレビューを持ち、話を聴き、疑問をぶつけました。それから、スタッフとともに国内一流リゾートの訪問をしました。全国の大口顧客への訪問も開始しました。これはリゾートビジネスに早く精通するため、自分へのプレッシャーの意味もあってです。
そして、社長直下の組織として「POSチーム」を編成しました。様々な部署から「これは!」と感じた6人を、ある種、現場から引き剥がし、直接私とやりとりをできるようにしました。つまり、問題を分析し解決をリードする部門横断チームを作って社内改革を始めたのです。
ビジネスインフラの整備
シーガイアには、組織で行動する上での土台・ツール・武器となるビジネスインフラ(会社としての基礎)がほぼない状態でした。この部分を整備し、組織体質を変え、組織としての力を強化することが再生への第一歩。
そこでPOSの柱として、(1)組織構造・プロセス改革による生産性の向上、(2)社内コミュニケーションの改善を据えました。その次には、(1)(2)の実行によって生まれたお金・時間・労力を使って(3)セールス・マーケティングの抜本的強化を行っていくことにしました。
もう少し具体的にご説明すると、インテグリティ/コンプライアンスやリスクマネジメントの徹底、「Voice Of Gust」(お客様主義)の再認識、3ヵ月単位の財務予測分析の実施、人財開発、「ブレイクスルー」の導入などです。特に人財開発には“1400名の従業員にプロとして手に職をつけてもらい、自分の雇用を自分で守れるようにする”という意味もあります。また「ブレイクスルー」とは、私がGE時代に学んだ“ワークアウト”というミーティング手法をアレンジしたものです。ボトムアップで問題を提起し、トップダウンで決断することによって解決のスピードをアップさせるのです。
変わりはじめる現場
「ブレイクスルー」の成果として、こんなことがありました。数名の社員から「従業員は自分たちの働く施設を利用したことがほとんどなく、じつは良く知らないのではないか?」という問題提起があり、研修の一環として社員の利用体験を認めるべきという提案がなされました。総支配人であるミネッシュ・ラニガは、その場で答えを出さなければなりません。「YES」と答えた場合には、原価ベースで約600万円の経費がかかることが決まります。「NO」と答えた場合には、問題を解決するための代替案を提示しなければなりません。この時、彼は、利用した従業員が6つのアンケートに答える義務を負うことを条件に「YES」と決断し、利用体験は今も実施中です。
このように、「ブレイクスルー」の中で、経営幹部は決断力や現場の知識等の技量を試され、スタッフは自分たちの真摯な提案が経営に影響を与えることができるという体験をすることで、双方に良い効果をもたらしはじめました。
筋肉質の企業体質へむけて
皆さんは新人の不採用は、経営再建に役立つと思いますか?シーガイアでは、じつは私が赴くまでの約10年間、採用を見合わせる時期が続いていました。確かに経費が削減されている部分はあるでしょうが、現場にはどことなく沈滞した雰囲気が漂っていました。そこで今年、10人の新入社員を迎えることにしたのです。
やはり現場は活気づきました。10人分の社員に関わる追加コストは年間数千万円。その他の事柄でムダを省く努力をすれば、けっして用意できない額ではありません。新人採用の経費を簡単に削ってしまうより、新しい血を入れ続け、新鮮な風を現場に送り込むことの方が、よほど大切だと思います。
私自身に関していえば、経営の総責任者であるわけですから投資家の判断次第では、いつでもシーガイアを去らねばならない場合もあるでしょう。しかし、宮崎で働く1400名のスタッフは残ります。シーガイアを筋肉質の企業体質へと変え、ぜひ利益を生み出せる体制にしたいと考えています。本日お配りした「お客様への約束」というカードにもあるように、ゲストが「元気になれるリゾート」、社員が「誇りを持てる職場」を目指し、まだまだ道半ばですが、努力したいと思います。
- 「ダイナミック・スタッフィング」…一人複職制。例えば、調理スタッフ(シェフ)が洗浄業務(皿洗い)を行う、プール監視員が閑散期にウエイター業務を行うなど。外注していた業務を自社で行うことにより、数千万円のコスト削減を実現している。また、繁忙期と閑散期によって複数の職をこなして働くことにより、スタッフ数の削減に頼らない効率化を実現している。
- 「在庫一括管理の導入」…150に及ぶ倉庫に、トヨタなど日本の製造業が長年培ってきたきめ細かな在庫管理ノウハウを導入。約4000枚の余剰食器の販売、災害支援物資としての活用なども行われた。
※POSを通じた様々な取り組みにより、一年間で約10億円の改善効果が見込まれている。
第二部:ディスカッション『TOPマネジメントのキャリアとは』
フェニックスリゾート株式会社/社長兼最高経営責任者 丸山康幸氏 株式会社アクシアム/代表取締役・キャリアコンサルタント 渡邊光章
渡邊:僕が丸山さんのことを最初に知ったのは、丸山さんがMBA留学から帰ってこられて、GEへ移られるというときでした。事業開発でも何でもやってしまう、非常にやんちゃなすごい方がいる、とある方から聞いて。その後、丸山さんとお話をする度に、新しい発見をいただいています。今日は、ダンロップ・フェニックス・オープンも開催された直後で非常にお忙しい中を来ていただいたので、なるべく様々な角度からお話を伺いたいと思います。
さっそくですが、30代半ば頃の丸山さんは、どんなことを考え、お仕事をされていましたか?
丸山:最初の商社で、ベンチャー企業への投資の仕事をやっていたと思います。成績は、一勝数十敗でしたが。
渡邊:マネジメント(経営)は志されていたのですか?
丸山:30代前半は、MBA留学のためにアメリカにもいたのですが、そのときのホストファミリーのお父さんから影響は受けました。彼はコンサルティングの会社を経営しながら、それとは別に障害者を雇用する施設を他の経営者と一緒に立ち上げ、ノンプロフィットの事業として行っていました。レストラン、ペットショップ、ウエディング施設などがあり、公的資金をほとんど受けずに、当時、年間1億円以上の利益を出していたと思います。
じつは彼のお子さんが障害者で、お子さんもその施設で働いていました。子供が障害を持って生まれたとき、障害者たちの助けとなるビジネスを作り、成り立たせてしまうなんて…プロ経営者という側面を彼に感じましたし、アメリカのチャレンジ精神を見た思いでした。ビジネスは、モノを変える力を持っているんだなあと。ある種、ビジネススクールの授業より学ぶものが大きかった気がします。
渡邊:長野県庁へ行かれたのは、そのあたりの経験も関係があるのですか。
丸山:そうかもしれませんね。長野にもNPO団体が1000グループほど登録されていたのですが、どこも実態は大変でした。NPOこそ、「経営」が必要。年収300万円のスタッフが10人いて、1000グループで300億円。この金額分の仕事があれば、若者がそこに働き、安定した収入を得られ、活動していけるわけです。僕がいた当時、県の予算は8500億円ほどでしたから、官公庁の仕事をNPOに出すことも十分可能だと思いました。なかなか難しいことがたくさんありましたけど。
渡邊:丸山さんは、なぜ、外資系企業・官公庁など違う世界に飛び込んでいかれたのですか?
丸山:特に違う世界を選ぼうと、意識したことはないんですよ。選べるほど中高年には仕事がないじゃないですか(笑)。10年後の自分の姿を丹念に描いていたこともないですし、何か縁あって、というしか説明できないものもあります。田中康夫さんに誘われた時などは特にそうでした。
渡邊:求人企業、人材マーケットの要望を受けて人材を探す僕のような仕事をしていると、丸山さんには「この仕事・事業をやってくれ」という声がひきもきらないように思います。よく、この点を理解されていない方が多いんですよ。「やってくれ」と求められる力をつけようとするのではなく、「やりたい」仕事を探し続けてしまう人が。
丸山:そうですね。長野にいたとき、いわゆるニート問題にも関わっていたのですが、やりたい仕事なんて分からないし、そうそう見つけられないと思いました。ですから、どうしても好きになれない分野、やりたくない仕事だけは避けて、とりあえずやってみるというのが良い方法なんじゃないでしょうか。プロスポーツ選手や芸術家の場合は事情が違うと思いますが。
渡邊:お話は少し変わりますが、「経営」とはギフト(才能)だと思われますか?
丸山:いいえ、経験や努力の積み重ねで、できるものだと思います。シーガイアの若手スタッフでも一年で大きく変わり、経営発想を持つ者もいます。もっとこうした方が良くなると常に考えるのが好きな人、考え続けられる人がビジネスリーダーになれるのだと思います。
渡邊:企業再生の現場で、丸山さんが最も大変だとお感じになっていることは何でしょう?
丸山:投資家にリターンをもっていくことでしょうか。彼らに、リスクに見合うリターンを返すのが、まさに私の仕事です。ただ、投資家と現場では時間の流れが違います。投資家は3年ほどでそれなりのリターンを期待し、イグジットしたがります。ですが、現場の時間の流れ(変革のスピード)は必ずしも同じではありませんよね。そこが苦労するところです。
私はスタッフによく「あせってはいけないが、急いで実行しよう」といいます。現場には、新しい投資家に変わっても、変わらない力=筋肉質の企業体質を早くつけてほしいのです。1400人の従業員を一気に変えられる投資家など存在しません。せいぜい、僕と、僕がつれてきた幹部数名が交代するだけです。ですが、その基礎の力さえもなければ、どうなるかわからないからです。
渡邊:本日ご参加の方々から、社員のモチベーション維持についてのご質問も多くいただきました。丸山さんは、モチベーションは与えられるものだとお考えですが?
丸山:あくまで私の考えですが、私はモチベーションの本質は、自分の職場が好きで、自分の職場でのびのびできることだと捉えています。労働者として自分の職場をよくする義務と同時に権利も持っているんだと認識してもらうこと。職場をよくするようにアクションできる基本的な整備(情報の開示など)を行うことで、高いモチベーションを持ってもらえると思っています。
渡邊:また別の角度からお伺いしたいのですが、経営者となるために必要な経験や知識はありますか?
丸山:そうですね…マーケティング、企業会計、HR(組織開発)のフレームワークを知っておくのは有効だと思います。例えばモノをこれだけ売ったらP/L上はどう反映されるか分かった方がいいですよね、また私は、人材開発の一年間のカレンダーが頭に入っていて、とても役立っています。
それから、法務の知識も必要です。専門家である必要はまったくありませんが、弁護士などにきちんと注文・発注ができる程度の基礎知識があればいいと思います。
渡邊: 第二部の最後になりますが、マネジメント(経営職)は専門家だとお考えですか?
丸山: 難しいですね。ただ、明らかにスタッフとして働くのとは異なります。専門性もあると思います。特に企業再生の場合には実験的な要素の幅も大きく、経験がものをいう場面が多いと感じています。
第三部:参加者とのQ&Aセッション
フェニックスリゾート株式会社/社長兼最高経営責任者 丸山康幸氏 株式会社アクシアム/代表取締役・キャリアコンサルタント 渡邊光章
今回のフォーラムでは、参加お申し込み時に丸山社長へのご質問を受け付けておりましたが、予想を超える約100件ものご質問が寄せられました。そこで第三部では、それらの中からアクシアム代表の渡邊がいくつかをピックアップし、丸山社長にお答えいただく形をとらせていただきました。
Q.リゾートビジネスのCEOにとって必要な能力やスキルは何ですか?
丸山:「マーケティング」ですね。競合から選んでもらえる魅力を探って、それを生み出すのは非常に創造性のいることで、天性のものも必要かもしれません。私の場合はそれがないので、マーケティングをやれる体制を作る責任を負っていると思っています。その分野でベストのコンサルタントを雇う、部門を作る、投資家に説明するなど。これがリゾート分野の本当のプロ経営者ならば、自分でもマーケティングができるのかもしれませんね。
Q.どんな経験があれば、リスクをとってキャリアチェンジができますか?
丸山:自分では、皆さんが感じて下さっているように何かリスクをとって職を変えてきたという意識はないんです。これ以上ここに居続けても立ち行かない、と感じたときに働く場を変えてきました。むしろ「ここに残っているほうがリスクがある」と判断して転職してきたのです。
Q.キャリアチェンジをされた際の、判断基準を教えてください。
丸山:いま思えば、東邦生命も長野県もシーガイアも、疲弊した組織という点で共通のものがありますね。私は自分の力で物事を変えていくのが好きなんです。ですから、新しい仕事には「変えしろ」のある所を選んできたような気がします。
Q.再生の仕事での「喜び」とは?
丸山:先ほどもお話したように、組織などを変えていくのが好きですから、まったく苦労だとは思いませんし楽しいですね。あとはスタッフ自らが新しい提案を持ってきてくれたり、経営視点で物を考えるように成長してくれたり、その瞬間、瞬間が喜びでしょうか。
Q.ご自分の「成功」とは何だと思われますか?
丸山:ビジネス上の成功は、人が決めること。自分自身が考えるのは無意味だと思っています。家族と自分が困らずに生活できていれば十分というか。
ただ、ある時アメリカ人の友人が「ビジネス・フレンズ」と「フレンズ」の違いという話をしてくれたことがありました。「ビジネス・フレンズ」とは、仕事上知っているというだけの人。「フレンズ」とは、本当の友人。街であえば、久しぶりでもお茶を飲んで話し込みたくなるような真の友を何人持てたか。それが、自分の成功の指標になるような気がしています。
フォーラム終了後、参加者の皆さんにアンケートをお書きいただきました。その中から、フォーラムの感想を一部ご紹介いたします。
- 率直な丸山氏のお話が聞けて、非常に刺激的でした。(20代・男性)
- 丸山社長のお話には力があり、勇気づけられました。様々な勉強をして、キャリアについても考えていきたいです。(20代・男性)
- 前に進んでいく人の、前に進んでいく意気込み(モチベーション)の源泉を知った気がする。(20代・男性)
- これから実際に企業再生に携わるので参加しました。いただいたヒントを今後に活用します。(30代・男性)
- 丸山氏の人柄・考えを強く感じることができ、自分にとって参考となるインプットを得ることができた。(30代・男性)
- 企業再生に取り組む過程を図式化して説明いただいたので、どういったプロセスを経ていくものなのか理解できた。(30代・男性)
- 自分の会社の改革とオーバーラップする部分も多く、当事者意識を持って話を聞くことができた。ヒントもたくさんいただけたので、仕事で実践したい。(30代・男性)
- ベストプラクティスを素直に学び、取り入れる姿勢に共感した。(30代・男性)
- シーガイアに関する情報収集で参加しましたが、現在の職場環境や自分の仕事の姿勢などを見つめなおす良い機会となりました。(40代・女性)
- 時間が足りなかった感がある。Q&Aは、直接会場からの質問も受け付けてほしかった。(40代・男性)
- とても共感できる示唆を与えていただきました。ぜひ今後の参考とします。(40代・男性)
- 社会的に注目を集めている企業の経営者から、直接お話を聞けることは、とても参考になりました。(50代・男性)
アンケートにご協力いただき、ありがとうございました。いただいたご意見・ご感想は、今後のイベント運営に活用させていただきます。
講演者/パネリスト 略歴
社長 兼 最高経営責任者 丸山 康幸(まるやま やすゆき)
代表取締役社長/キャリアコンサルタント 渡邊 光章(わたなべ みつあき)
お問い合わせ
本イベントについてのお問い合わせは、下記連絡先までお願いいたします。
株式会社アクシアム イベント事務局
Email:event@axiom.co.jp