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CAREER DESIGN SEMINAR in Euro Spring 20142014.05.16
数年ぶりに欧州を代表するビジネススクール5校を訪問し、キャリアデザインセミナーならびに個別キャリア相談を行い、60名を超えるMBA学生の皆さんにご参加いただくことができました。ロンドンからスタートし、マドリッド、バルセロナと旅しながら、学生諸子と相談しながらも私自身にも多くの気づきと学びがありました。そのいくつかの話題を皆さんと共有しておきたいと思います。
各大学キャンパスは色とりどりの春の花が咲き乱れて美しい季節を迎えていますが、それでもまだ日陰は冷たく感じられます。学生達が日向に出て日光浴をしながらビジネス談義や歓談している光景を数多く見かけました。そのような風景を見ながら強くインスピレーションを受けたことがあります。将来の事を考えるには、寒い経済環境下ばかりで悲観的に考えるのではなく、楽観的に考えることが極めて重要だということです。
英国もスペインも失業率は高く、特にスペインの20代の若者の失業率は50%にも上ります。半数もの若者は失業しており、まさに陽があたっていない訳です。しかし、そんな日陰から日なたに出る行動をとっている人達がいるのです。日なたに出るために学んでいる人達が欧州ビジネススクールには沢山いると感じました。陽が当たらない理由や原因を考えることも大事でしょうが、陽の当たる場所に出て行動してみることが大事だと思いました。
まず、第一に感じた日本人MBA数の多さについて考察してみます。London Business School, University of Cambridge, IE, IESE, ESADE の5校は、数年前に比べ、学生数が非常に多くなっており、学校によって日本人比率が1割となっている学校もあります。私費留学生と企業派遣生がどちらも半々という学校が多く、バランスも保たれています。2014年、2015年卒予定者の日本人数は以下のとおりです。
2014卒 | 2015卒 | |||
全体 | 私費 | 全体 | 私費 | |
London Business School | 14 | 9 | 11 | 3 |
University of Cambridge | 9 | 1 | ||
IE Business School | 20 | 16 | ||
IESE Business School | 14 | 2 | 21 | 10 |
ESADE Business School | 8 | 6 | 11 | 9 |
何よりも日本人数が多いビジネススクールは、キャリア形成上も非常にプラスとなり、就職先も良くなります。企業のリクルーターにとっては日本人学生が多い上位校は訪問対象にしますが、上位であっても日本人数が少ないと訪問先から外してしまうからです。質のみならず数は重要です。また、数が多いということは、学生の出身業界が広くなるので、採用側も、コンサルティング、金融、事業会社とまんべんなくリクルーティングに来てくれますし、何よりも1年生、2年生にかかわらず、他業種出身の学友とビジネスや人生について議論するときに、現実感のある議論を交わすことができます。この議論がその人のキャリアに対しての考え方を育てます。
自分が所属した会社や社会の枠組の中だけで、回答を見つけるのではなく、違った視点、価値観、経験、他人の思考を通して、未来を考えることができるのです。その人なりを育てることこそが学校の役割です。知識、スキル、ビジネスフレームは当然として、将来のビジネスリーダーを数多く育てる環境を、欧州のビジネススクールは提供していることを実感しました。同時にこれらビジネススクールは、優秀な日本人を集めることに成功しているとも言えます。
第二に「日本人」ということについて考えてみましょう。すでに採用側企業において国籍は不問ですから、日本語を話せる人を日本人としてここでは考えてみたいと思います。MBA留学を30年のスパンで見直してみます。
30年以上前…よほど日本通と呼ばれる知識人でないと日本を知らなかった時代。
20年前…ジャパンアズナンバーワンとよばれ、経済大国とみなされた時代。
10年前…日本が重視されなくなった時代なのに、日本オタクとよばれる日本を知る人がでてきた。
現在…日本通やオタクと呼ばれる人でなくても、日本の文化、スポーツ、コンテンツを理解している人が増えた。
このような変化は、ビジネススクールに留学する人達にも影響を与えます。海外ビジネススクールから貴重な知識と経験を持ち帰れば、恵まれたキャリアを形成できた時代も、日本プレミアが付け足された中でキャリア形成できた時代も、過ぎ去ってしまいました。しかしながら、今のMBAには多彩な可能性が過去のMBAの人達よりも広がっていると確信できます。今のビジネススクールはそのキャリアの多様性を学生の人達に感じさせる装置、環境を提供しています。学内での起業家教育も様々な形で行われており、インキュベーションセンターのような形をとっている学校もたくさんあります。リクルーターと学生の接点を増やす試みも数多く行われています。
また、日本文化に対しての観点でいえば、ロンドン、マドリッド、バリセロナの町中には、数多くの和食や日本文化、ポップカルチャーを感じさせるものが溢れており、40年前から当地で和食屋さんを開業しているところもあれば、英国人やスペイン人が日本文化を題材にビジネスを展開して成功しているケースもあります。クールジャパンの市場はすでに広がりを持ち始めている感覚をもちました。日本から持って出る時代ではなく、既に求められているのです。ゼロから持ち込むのではなく、先に日本に対して需要があるという感じです。日本製品に対する品質の高さや信頼度といった製造業が成し得た市場開拓とはまったく異なる需要です。日本ブランドを再構築するのであれば、今すぐやらないと機を逸すると強く思いました。これは今、ビジネススクールに留学中の人の中でも、比較的多くの学生が同様に感じているようでした。
第三に感じたことは、MBAの世界における地域格差が少なくなっている点です。アメリカ、アジア、欧州の留学生の特性、質に差が少なくなっていると感じました。facebookなどSNSの発達で、海外にいても日本や他国の情報が簡単かつ時差なく知る事ができる現在、もはや海外にいるだけでは価値がありません。加えて今回驚いたのは、スペイン語、フランス語など英語以外の言語を第三か国として話す人が明らかに増えたことかもしれません。日本と英国を繋ぎたいとか、日本とスペインを繋ぎたいという希望者はもういません。もっと世界視点になっています。アジア、アフリカ、ラテンアメリカ…視野を広くもつことが昔のMBAよりもできるようになっている点も見逃せません。
「どこに留学したか?」「何を学んだか?」「どの学校に留学したか?」ではなく、今後は「卒業後のキャリアをどのように考えるか?」「自分なりの価値観を具体的にどのようにもつことができたか?」という問いへの答えを持てるかどうかがMBA保有者に問われます。また、ビジネススクールとしても、その問いへの答えをしっかり備えた学生を数多く輩出する学校が、より一層市場で評価されると思われます。
実際にアクシアムで相談されていたこれら欧州ビジネススクールの私費留学生の方で、ここ数年の紹介実績につながった先の企業は、戦略コンサルティング、クールジャパン関連、投資銀行、ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティー、ネットビジネス、ベンチャー企業、大手製造業と、業種も多彩です。欧州のビジネススクールに留学した学生諸子の、キャリアに対する価値観が10年前に比べ非常に変わった点があるとすれば、それは、アメリカビジネススクールへの対立軸をもたず、ワンワールドとなった市場で、どのようにビジネスを展開するのか、独自に考えることができるようになり、以前よりも自信に満ちてきたことだと思います。
今回、訪問時に初めてお目にかかった方も、以前からアクシアムのキャリア相談を受けていただいている方も両方おられますが、今年から来年にかけて、欧州ビジネススクールのMBAの人のキャリアサポートに全力を尽くしたいと思いを新たにいたしました。
参考情報:MBA Ranking
Financial Times | Global MBA Ranking 2013
The Economist | Full time MBA ranking
U.S. News & World Report | Best Business Schools
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株式会社アクシアム イベント事務局
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