転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第237回
2024.07.04

30代後半からのキャリア選択。英語×年収か? 未経験のコンサルへの挑戦か?

新卒から、ある総合商社で営業職に就いてきました。現在36歳です。社内では評価をされ、部下も持てるようになり、このまま定年まで勤めることもできます。ただ、海外赴任から帰国したいま、赴任時の投資先企業で行っていたような経営の経験、ダイナミックな仕事を今後もしたいと思うようになり、転職活動を開始しました。

いずれは事業会社でグローバルに経営を行いたいと思っていることから、事業会社A社の事業責任者ポジションの面接を受けました。また、昔から興味のあった戦略コンサルティングファームB社についても転職活動を行い、幸いなことに両社からオファーをいただきました。A社のポジションは、英語を使って仕事をすることができ、年収は現職と同等のオファーです。一方、B社の戦略コンサルタントポジションは、コンサルティングが未経験ということもあり現職よりも年収はダウン。まずは国内案件を中心にアサインされることになりました。

A社とB社、どちらのキャリアを選ぶべきか…意思決定にあたり、アドバイスをいただけますでしょうか。

Answer

大前提として、ご自身が納得のいく意思決定をしていただけるのが一番いいと心から思っています。ただ今回、将来的なキャリアの広がり・高まりという視点から考えると、個人的にはA社を推したいと思っています。

まずA社です。現職の総合商社で評価をされていらっしゃるとのことで、恐らく年収がかなり高くなっておられると推察します。その状況で現職同等のオファーが出ているのは、A社からの評価・期待値もかなり高いと考えられます。また、海外赴任をされていた際に感じた「業務のダイナミックさ」という意味では、英語を使って業務を行いながら事業責任を担うという、経営とまではいきませんがその前段階にふさわしいポジションであり、今回のオファーは、ご希望にかなっているといえます。

キャリアコンサルタントとしては、「このようなオファーが出てきたらいいな」とご相談時にまず頭に浮かぶような、理想的なオポチュニティに思えます。さらにA社で成果を出し評価をされることで、社内での経営へのキャリアパスのほか、こちらの企業で難しかったとしても次につながる経験が得られるように思います。

一方B社の場合、経営者と相対するコンサルタントではあるものの、あくまで業務はコンサルティングであり「事業会社で経営を目指す」というビジョンを考慮すると、少なくとも数年後には転職することを前提としたキャリアの作り方を考える必要が出てきます。また、「まずは国内案件から」というところからも海外赴任時に得られたようなプロジェクトではない印象を受けます。また、一般的にコンサルティングファームと事業会社でいえば、コンサルティングファームの方がまだまだタフに働かなければならないことが多く、アウトプットが出せるようになるまでは大変な思いをされることも予想されます。

上記のようにポイントを整理して挙げると、A社一択という助言を差し上げたいところなのですが……今回、意思決定にあたってのアドバイスをわざわざ求められたということは、B社にかなり魅力を感じていらっしゃるのではないでしょうか? 実際に過去の似たようなケースのキャリア相談でも、最終的にB社にあたる企業を選ばれた方は結構いらっしゃいます。そしてそれが幸せにつながっている方が多い印象です。

「戦略コンサルタントに昔から興味があった」とのこと。その興味の度合いが非常に高かったとしたら、また、36歳という年齢を考慮してコンサルタントにチャレンジできるのはラストかもしれないとお考えになっているとしたら、悩まれることも大いにあると思います。そして、ぜひ悩んでいただきたいと思います。

繰り返しになりますが、私はこれまでのご経験を活かす、今後につながる、という意味でA社を推します。ただ、B社に魅力を感じている理由なども、ぜひ実際に深く聞かせていただきたいですね。私たちキャリアコンサルタントは、これまでのご経験やご希望をお伺いして求人案件のご提案を行いますが、意思決定にあたってのご相談も承っています。お悩みであればもちろん、お悩みでない場合でも、後悔のない決定をするためのディスカッションパートナーとして、ご活用いただければと思います。ぜひお気軽にご連絡ください。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

伊藤 嘉浩

株式会社アクシアム 
取締役/エグゼクティブ・コンサルタント

伊藤 嘉浩

2008年、アクシアムに参画。エグゼクティブ・コンサルタントとして、経営者やプロフェッショナル人材、MBA、若手・次世代ビジネスリーダーまで、幅広い年齢層へのコンサルティング、キャリア開発、紹介実績あり。アクシアム参画前は、商社にてアパレルブランドの輸入販売や海外事業開発を手掛け、新規事業の立ち上げと事業の黒字化を達成。事業計画策定、商品企画、マーケティング、リテールマネジメント、組織開発、生産管理などの経験を持つ。海外事業開発をはじめとする“実業経験を持つキャリアコンサルタント”として、個人のグローバルなキャリア、イノベーティブなキャリアの実現を使命とする。

日本キャリア開発協会認定 キャリアディベロップメントアドバイザー(CDA)