転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第236回
2024.06.06

魅力的な企業からオファーを得るも、一緒に働く方との相性に不安がある

転職活動をはじめ、ある優良スタートアップからオファーをいただきました。社会的意義が高い事業であり、タイトルは未定ながらも、それなりに裁量を持って動ける立ち位置でスタートができそうです。自分としてはこの事業を成功させる一助になれると思うとワクワクするので、ぜひやってみたいと思っています。

しかしながら、創業メンバーの中に自分と合わないと感じる方がいらっしゃり、一度は入社を決心したものの気持ちが揺らいでいます。事業の成長性は自分なりに確信を持てていますし、創業者や他のメンバーとはフィット感があると感じています。とはいえ全社一丸となって取り組むフェーズであり、自分への期待もあるなか、その方とベクトルを合わせてチームをリードできるか不安があります。そんな思いのまま一歩を踏み出していいものか…ぜひアドバイスをお願いします。

Answer

キャリアの選択肢としてベンチャー企業を判断する際には、「どのような株主が出資しているか」「事業の成長性はあるか」「創業者の想いに共感できるか」はとても重要な要素なのですが、この点はクリアしていらっしゃるようですね。 あなたは当該メンバーの方に対し、具体的にどのような点で「合わない」と感じたのでしょう? 考え方の違いでしょうか? それともなんとなく合わない(フィーリングが合わない)と感じたのでしょうか?

その方も、事業への熱意や事業を軌道に乗せたいという想いを持って創業メンバーとして参画されていると思います。具体的な職務内容はわかりませんが、ご入社すればその方との関わりが日々発生することでしょう。入社後に取り組む職務の中で、ボトルネックとなりそうな点が何か思い浮かんでいらっしゃるのですか? また、その方とどのようなコンフリクトが起こると危惧されているのでしょうか?

まだオファーレターにサインをされていないようでしたら、創業者やその方を含めて、コアメンバーの方々と話し合う機会を多く持ってみてはどうでしょう。もし既にサインをされている場合には、ぜひとも入社前にその機会を持ち、土台を創っておくことが入社後のスムーズなスタートに繋がると思います。

恐らく、あなたは創業期のボードメンバーの1人として同社からオファーをいただいたのではないかと推察します。事業の立ち上げから携わってきたその方や他のコアメンバーの皆さんが、引き続きベンチャーマインドを持ち、一枚岩となって事業に熱意を注げている状況なのか、冷静に見てみる機会があるとよいですね。皆、あなたと同じように創業者の想いや今の事業を本気で信じ、育てていこうと思われているのか。そして実際に取り組めているのか、確認が必要です(単に事業の社会的意義や成長性に憧れて参画しているメンバーが多いとしたら、真の事業育成は難しいでしょうし)。

未来を語りながらも、現実の今の課題にどう対応していくのか。事業を軌道に乗せるには何から取り組むべきか…創業者やコアメンバーと膝を突き合わせてディスカッションをする中で、「合わない」と思っている人を多面的に見てみてはいかがでしょう。これまでとは違う印象を持ったり、新たな一面に気づいたりするかもしれません。また、あなたが「合わない」と思ったということは相手もそのように感じている可能性があります。対話を重ねる中でお互いの考え方や人となりを知り、たとえそもそもの波長が違っていたとしても、折り合える接点が見えれば一緒に事業を推進し理解し合えるかもしれません。

スタートアップだからこそ、一緒に働くメンバーとの相性や考え方はとても大事です。その方だけではなく、あなたが共に働くコアメンバーの方々と、事業に対する想いを同じくできるかが判断のポイントになるのではと思います。せっかくのご縁ですから、現時点での感覚だけで結論を出さず、ぜひもう少し対話を重ねてからご判断なさるのがよいと思います。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

大石 順子

株式会社アクシアム 
エグゼクティブ・コンサルタント

大石 順子

大学卒業後、日系消費財メーカーに14年間在籍。その後、マーケティング・コンサルティングファーム、人材育成コンサルティング会社にて、顧客視点のマーケティング(リサーチ&商品開発)、新規事業戦略立案や新商品開発、CS調査・課題解決に携わる。2005年、アクシアムに参画。自らの展望を叶え、現職へ「展職」を果たした。“転々とする転職ではなく展望ある転職=「展職」を”という理念のもと、約10年間、キャリアコンサルタントとしてハイエンド人材のキャリア形成をサポート。キャンディデートひとりひとりの展望を実現すべく、その思いに寄り添った丁寧かつ的確なコンサルティングを提供中。