転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第233回
2023.12.07

応募した求人とは異なるポジションでオファーが。このまま転職すべきか迷いがある

現在30歳、転職活動中です。応募した求人とは異なるポジションで選考が進み、オファーをいただきました。この企業には以前から注目していたのでオファーをいただけたこと自体は大変嬉しいのですが、もともとやりたいと思っていた業務(応募した求人の職務内容)ではなく、現在の業務とあまり変わらない仕事内容でのオファーになってしまい、年収も大きくアップにはなりませんでした。それなら、わざわざ転職する意味があるのだろうか…と思い始めています。

人事の方からは、こちらの企業はキャリアパスについて柔軟であり、入社後に社内でキャリアを様々な方向へ展開できると説明いただきました。気になっていた企業でもあり環境が変わることになりますので、それなりに得るものはあると思うのですが、転職したほうが良いのか少し迷子になってしまいました。ご助言をいただければ幸いです。

Answer

以前から注目していた企業からのオファーは嬉しい一方で、現職と同じような業務で年収もそれほど変わらないとなると、とても悩ましいですよね。じつは、ご相談者と同様のご質問は多くいただきます。

ただ少し見方を変えると、現職と同じ業務からのスタートであれば企業により異なる部分はあるものの、期待に応えて実績を出しやすい所からスタートできるともいえます。早い段階で社内にあなたの実力をアピールできるチャンスと捉えてはいかがでしょう。そうすれば、あなたが本来やりたい業務へ展開できる可能性が高まるかもしれません。

キャリアパスについて柔軟に対応する企業とのことですので、希望する職務に就くための具体的なキャリアパスや、どのような成果を出せば評価となりその後の展開に繋がるのかなど、率直に聞いてみるといいですね。すでにオファー面談が終わっていましたら、追加で質問をしてもよいと思います。

その企業でやりたいと思っていた業務に取り組める可能性を見つけること、そしてその「キャリアの可能性」のイメージがご自身で持てるかを判断のポイントの1つにしてはいかがですか。企業側から確約は得られずとも、イメージが持てればあとはご自身次第です。

また、そもそも転職を考えるようになられた理由、その企業に注目していた理由、なぜその企業でその業務をやりたいと思われたのかなど、転職の原点について考えてみてください。ご自分が何を目指してその企業にアプライしたのか、何を実現したいのかという視点を持たないと、ついつい目の前の職務のみで判断してしまいがちになるからです。

あなたと同様のご年齢で、転職経験があるお二人の事例をご紹介します。

Aさんは、30代前半である日系企業に転職しました。Aさんはその企業に強いこだわりがあり、念願の転職でした。海外志向はそれほど強くお持ちではなかったのですが、海外事業に抜擢され、数年間、海外事業開発に携わり帰国。入社以降、配属された先での役割/業務をしっかりと果たし評価されてきたのですが、帰国後は国内事業部に配属となりました。営業マネージャーではありますが、グローバルで動いていた時よりやりがいが感じられず、40歳を目前にして「本当にこれ(国内事業の営業マネージャー)がやりたいことか?」と、考えるようになり、「何がやりたいことだったのか、やりたいことを見失ったまま、ここまできてしまった」と後悔されていました。

一方Bさんは、「海外で事業開発をやりたい!」という思いを持って転職活動をした結果、あなたと同様に、応募した職務とは異なる業務内容でオファーが出ました。Bさんはオファー受諾前に、配属部門の方や人事担当者と面談を重ね、ご自分が手掛ける業務への理解を深め、同時にやりたいこともしっかりと伝えました。入社後、異なる仕事からスタートしましたが、やりたい業務に向けて今の仕事がどう繋がるのか/繋げるために何をするべきか、という視点を持って取り組んでいるので、ワクワクしながら仕事をしているとおっしゃっていました。

AさんとBさんの違いは、「自分はどうなりたいのか」「実現したいことは何か」を持っているか否かです。つねに自分の中に明確な目標を持つこと。そしてそれを見失わないように、つねに意識できるよう工夫することが、希望のキャリアを実現するためには重要です。

Bさんは、「目の前の業務に忙殺されるとすぐ自分を見失うので、目につく場所に目標を書いて貼ってあります。アナログですが」と、笑っておっしゃっていました。目標を持ち明文化することで、迷った時に原点に戻り、今の立ち位置や取り組んでいることの意味を再認識して次の原動力にされているようです。

「なぜ転職したいのか?」「なぜこの企業に注目していたのか?」「この企業で実現したいことは何なのか?」という点について、ぜひ改めて考えてみてください。現在30歳、まだまだご自分次第でキャリアを切り開いていけます。やると決めたら、つぎはどうしたらやりきれるかを考え、楽しみながらもがいていただきたいと思います。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

大石 順子

株式会社アクシアム 
エグゼクティブ・コンサルタント

大石 順子

大学卒業後、日系消費財メーカーに14年間在籍。その後、マーケティング・コンサルティングファーム、人材育成コンサルティング会社にて、顧客視点のマーケティング(リサーチ&商品開発)、新規事業戦略立案や新商品開発、CS調査・課題解決に携わる。2005年、アクシアムに参画。自らの展望を叶え、現職へ「展職」を果たした。“転々とする転職ではなく展望ある転職=「展職」を”という理念のもと、約10年間、キャリアコンサルタントとしてハイエンド人材のキャリア形成をサポート。キャンディデートひとりひとりの展望を実現すべく、その思いに寄り添った丁寧かつ的確なコンサルティングを提供中。