転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第226回
2023.02.02

異動した先の業務に興味が持てない。けれど「やりたいこと」も明確に見つかっていない

新卒から約2年法人営業を担当した後、約5年投資部門で、ある領域の投資判断のための市場調査と分析に携わってきました。その後、事業の管理部門へ異動して1年が経ちます。正直なところ、現在の業務には面白さを感じられません。投資グループで最先端の情報を分析する仕事は、やりがいがあったなと感じています。

「〇〇をやりたい」という明確なものがまだないので転職へ踏み出す勇気が持てていませんが、かといって今の数字に向き合う職務はどうしてもモチベーションが上がらず、長く続けられないとも感じます。会社の人事担当者とも話しましたが、以前の部署には空きがないため戻れないとのこと。現職でもう少し頑張るべきかとも思いますが、30歳という節目を迎え、キャリアへの焦りを感じています。アドバイスをお願いします。

Answer

「何をやりたいか」が見つかっていないとのことですが、逆に「やりたくない/性に合わない」という業務は見えているのではないでしょうか。

焦らず、ご自身の経験と向き合う良い機会ととらえて、これまでやってきた業務(法人営業と投資判断に関わる調査・分析、事業部管理)について、下記の3つの視点で整理してみてはいかがでしょう。

(1)これまでのお仕事で「やれること/やってきたこと/ワクワクを感じたこと」⇔「つまらない/興味持てないこと」
(2)ご自身のパーソナリティとの相性
(3)大事にしてきた軸、これからも大事にしたい軸

(1)「やれること/やってきたこと/ワクワクを感じたこと」⇔「つまらない/興味持てないこと」

2年間の法人営業、5年間の投資判断における調査・分析、1年間の事業管理(月次報告や、予実管理など事業運営に関する業務でしょうか)というご経験の中で、「できること」と「やっていて楽しいと思ったこと/やりがいを感じたこと」はなんでしょう? 逆にいえば「やっていても興味がもてないこと」など、できるだけ詳しく書き出してみるといいですね。

例えば……
【できること】
・法人営業(既存、新規)でどのような実績を出したのか。
予算100%クリアしたならどのようなやり方や工夫で達成できたと考えるか。
チームで、一人で達成したのか など
・投資判断に関わる業務で、ある領域について、新しい技術へのアンテナを張って常に情報収集と自分なりのポートフォリオを作成していた など
プロセスを含めてできるだけ詳しく掘り下げてみてください。

【ワクワクしたこと/夢中になれたこと】
これまでの業務の中で「ワクワクした!」「仮説通りうまくいった!と感じる瞬間があったのではないですか?
そういう「煌めいた瞬間」を思い起こしてみてください。 その時の業務やシチュエーション、一緒に取り組んだチーム、どんなプロジェクトメンバーや顧客、どのような時でしたか?

その「ワクワクした/仮説通りうまくいった!」業務に取り組んでいた時は「やりがいがあった」のではないでしょうか。
あなたにとって「やりがいがある」ことはなんでしょう? それがあなたにとって【やってみたいこと】かもしれません。
できる、できないはさておき、やってみたいこととしてリストアップしてみてください。

(2)ご自身のパーソナリティとの相性

法人営業はモノやサービスを売り込む、もしくは顧客の課題を引き出し、解決策を提案するなど、ヒトと向き合う仕事です。「大変だけれど人と接することや対話が楽しい!」と思える方がいる一方で、それが苦痛と感じる方もいます。あるいは、一人で調査・分析などの業務に集中したほうがはかどる方もいれば、チームでディスカッションをして何かを創り上げてることが得意という方もいます。これまでのご自身の特性と業務との相性という視点で、じっくり振り返ってみることは重要ですので、良い機会です。

(3)大事にしてきた軸、これからも大事にしたい軸

これは譲れない、もしくは大事にしてきた(大事にしている)ということが、きっとあると思います。もし、特にないと思われたら、これまで学校を選び会社を選んできた時のことを思い出してください。何か大事な意思決定や判断をするとき、その判断をするための軸・基準があったのではないでしょうか?

「グローバルで活躍したい」と中学の頃から思ったある方は、高校で交換留学を経験し、海外の大学へ進学して卒業され、そのまま海外で就職して現在は日本に帰国(赴任)。日本と海外を繋ぐお仕事をされています。その方の判断軸の1つは、「グローバルのチャンスがあるか」でした。この方の場合は特にわかりやすい例ですが、ここまではっきりしたものでなくとも、あなたの大事にしている軸を考えてみてください。

今回は、キャリア相談というよりはご自身の「内生(ないせい)」との対話、そして経験の「深堀り」に焦点を当ててお話しました。これまで、ご相談者と同じようにキャリア構築上の焦りから、とにかく闇雲に多数の求人募集へアプライをして苦戦しているというご相談を多くいただいてきました。

若い方の場合は、企業にポテンシャル含めて検討してもらえる可能性はありますが、うまく進む方とそうでない方にはある違いがあります。うまく進む方は、ご自身の特性ややりたいこと、不足している点をよく理解されています。そして、目指す方向にブレはありません。軸をしっかり持っているからです。

ぜひ一度、あなたについてさらに詳しくお話を聞かせていただきたいと思います。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

大石 順子

株式会社アクシアム 
エグゼクティブ・コンサルタント

大石 順子

大学卒業後、日系消費財メーカーに14年間在籍。その後、マーケティング・コンサルティングファーム、人材育成コンサルティング会社にて、顧客視点のマーケティング(リサーチ&商品開発)、新規事業戦略立案や新商品開発、CS調査・課題解決に携わる。2005年、アクシアムに参画。自らの展望を叶え、現職へ「展職」を果たした。“転々とする転職ではなく展望ある転職=「展職」を”という理念のもと、約10年間、キャリアコンサルタントとしてハイエンド人材のキャリア形成をサポート。キャンディデートひとりひとりの展望を実現すべく、その思いに寄り添った丁寧かつ的確なコンサルティングを提供中。