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転職コラム”展”職相談室
キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。
“展”職相談室 第218回2021.11.11
MBA取得を機に、サーチファンドのサーチャーを目指したい
以前から「いつかは経営者になりたい」との思いがあり、そのためにMBA留学をしました。卒業後は経営者につながるキャリアを歩みたいと考えていたのですが、日本でもサーチファンドのサーチャーの機会があることを耳にしました。私は現在33歳で、留学前の経験は日本の大手メーカーで経理、その後はFAS(財務系コンサルティングファーム)でM&Aに関わるコンサルタントをしていました。このような経験でも、サーチャーになれるのでしょうか? また、そもそもサーチャーにはどのような素養が必要なのでしょうか?
Answer
サーチファンドがどのようなものかをご存じない方もいらっしゃると思いますので、まずはサーチファンドがどのようなものかを簡単にご説明します。サーチファンドとは、1984年に米国スタンフォードビジネススクールで生まれた新しい投資モデルです。
社長を志す若者(イメージは30代がメイン)が投資家から資金調達を受け、自分が承継をしたい企業を探し、買収。その企業の社長に就任し、社長として企業価値を高めた後、さらに後継者に承継し、そのタイミングでキャピタルゲインを得るという仕組みです。
社長就任前の時期に自分で承継先企業を探す(サーチ)ために、社長就任までの期間は「サーチャー」と呼ばれます。通常PE(プライベート・エクイティ)が投資先の社長を探す際には経営経験が豊富な方(50代がメイン)が対象となりますが、「サーチャー」のメインは30代と非常に若く、サーチャー/社長としてのポテンシャルを重視していることがわかります。そして多くのケースでは、“地方創生”が主なテーマになっているようです。
弊社がこれまでキャリア相談をご提供した方の中からも数名が「サーチャー」となられ、中には承継先企業を見つけて社長に就任している方も出始めています。今後しばらくはMBA卒業時、もしくはMBA卒業後数年以内の方にとって、有力なキャリア機会となりそうな気配があります。
筆者が考える「サーチャーとして必要な条件」とはどのようなものかを列挙します。
(1)社長になりたい、地方創生の一翼を担いたいという強い想い
(2)企業経営に関する基礎知識
(3)人間力や胆力
私は大きくはこのようなところではないかと考えます。30代がメインターゲットになっていることからもわかるように、経営経験はまったく問われていません。ただし、投資先企業からすると、少なくとも企業経営経験がなく社会人としての実績も多くない若者に、自分の会社の社長になってもらう、その人物に仕えることになるわけですので、そう易々と受け入れてくれるものではありません。
「この人物に社長を任せれば、自分の会社を再生/再成長させてくれそう」という強い期待を持たせられるかが鍵になります。そのために承継したいと思える企業を見つけたあとは、承継候補企業からの信任を得るため、かつ相互理解を深めるために3-6か月間のインターンを経験するということも行います。
MBAの方にとって、自分で起業する以外での経営者への最短距離といえる機会であり、大変貴重だと思いますので、ぜひチャレンジをしてみていただきたいところです。しかし、実際「サーチャー」に着任した場合には外資製薬企業、戦略コンサルティングファーム、PEなどと違って、1000万円を大きく超えるような報酬は期待できません(サーチャーを経て、社長就任時はその限りではありません)。いわゆるサイニングボーナスなどもなく、企業派遣(返済あり)の方や、ご家族などから貸与を受けてMBAを取られた方にとっては資金的に苦しくなるケースもありますので、現実問題としてチャレンジするタイミングも大切といえます。
最後になりますが、あなたのご経験は、ずばり「サーチャー」として応募してみる価値はあるといえます。資金的に問題がなければ、ぜひチャレンジしてみてください。そしてこのコラムを読んでチャレンジしてみたいと思われた方は、ご連絡をお待ちしております。
コンサルタント
インタビュアー/担当キャリアコンサルタント
若張 正道
株式会社アクシアム
取締役/エグゼクティブ・コンサルタント/人材紹介事業推進マネジャー
大学卒業後、大手食品商社の営業部門からキャリアをスタート。人材サービスに関心があったことから、2001年、アクシアム入社。新規事業であるMBAをメインとしたネットリクルーティングサービスの立ち上げに参画。無事にローンチを果たし、その後は人材紹介事業推進マネジャー 兼 エグゼクティブ・コンサルタントとして、ハイエンド人材の展望ある転職=「展職」を支援している。