転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第217回
2021.09.02

経営を目指して早く成長するため、外資かスタートアップに転職したい

大学卒業後から日系大手といわれる企業に勤める30歳です。実家が家業を営んでいるため、子どもの頃から経営を意識してきました。あいにく現職では経営ポストに就けるイメージが湧かないため、プロモーションや成長スピードが速いといわれる外資系企業か、スタートアップベンチャーに転職することを検討しています。将来は経営を目指すことを前提にそれぞれの選択をした場合、キャリアを創っていく上で留意すべきポイントとは何でしょうか?

Answer

ご実家が事業を営んでいらっしゃるとのこと、経営者の苦労なども身近に感じられてきたのではないでしょうか。実際に、ご家族から経営者として気を付けるべきことなどのお話を直接聞くことができるようであれば、ぜひそうしていただければと思います。参考にしていただける部分も多いはずです。

ご質問についてですが、外資系企業とスタートアップベンチャーでは、キャリア開発におけるそもそもの考え方が異なります(個々の会社によっても人事制度・キャリアに対する考えは違いますので、一概にはいえませんが)。以下に挙げる点はあくまで一般的な特徴ですが、外資にもスタートアップにも、それぞれ良い点・悪い点があります。

【外資系企業】

・専門職採用であることが多く、専門性を高めることができる一方で、キャリアチェンジが難しいことが多い。
・年収は比較的高いが、事業縮小や撤退などがあった場合、組織ごとなくなる可能性もある。
・成果を出せば評価される。年齢に関係なくプロモーションできるが、大手の場合は、上が詰まっていることもある。また、成果が出せないともちろん評価に影響する。

【スタートアップベンチャー】

・組織が固まっていないことが多く、状況に応じてアサインが変わることも多い。そのため、専門性を身に付けることが難しい場合がある。
・年収は、以前と比べると高くなってきた。しかしながら、外資系企業などと比較すると見劣りすることは否めない。
・経営そのものが安定していないことも多い。
・やらなければいけないことが多いため、やりたいことばかりできるわけではない。しかし、そのぶん成長機会は多い。
・組織と自身の成長をリンクさせやすく、プロモーションやマネジメントの機会を早期に勝ち取ることも可能。ただし、組織の成長が止まると自身の成長も止まることがあり、自身が成果を出せないと企業ごとなくなる可能性もある。

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そもそも現職で経営ポストに就けるイメージが湧かない理由とは何でしょうか。「年功序列の人事制度なので、成果を出しても早期の昇進の可能性が低い」といった理由でしょうか。外資系企業にしてもスタートアップにしても、やはり成果を出すことは絶対条件です。成果を出せない人が経営者になると従業員が大変ですよね。では、外資やスタートアップでは成果を出し続けさえすれば、経営者へのパスが見えてくるのでしょうか。

じつは外資系でも大手といわれる企業ですと、成果を出しても大きなインパクトになりづらく、評価につながらないこともあります。また成果だけでなく、グローバルとのやり取りや交渉などもありますので、語学力に加え、ダイバーシティに富んだ環境において発揮できるリーダーシップも必要です。

スタートアップの場合は、成果を出すために何か新しいことしようと思っても、資金がないかもしれません。例えばマーケティングを強化しようと思っても、マーケティングに強い人を採用する資金がないということはよくある話です。そのため、どれだけ自らが手を動かせるか、自ら手を動かして成果を出せるかが重要になってきます。

これまで述べてきましたように、外資系企業・スタートアップベンチャーでは、それぞれキャリアに対しての留意点が異なります。経営を目指す中、どのように成果を出し続けるか、また、どのようにリーダーシップを発揮していくのかなど、考慮しなければいけない点はまだまだあります。お一人お一人でポイントも変わってくると思いますので、まずは一度キャリア相談に来ていただければと思います。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

伊藤 嘉浩

株式会社アクシアム 
取締役/エグゼクティブ・コンサルタント

伊藤 嘉浩

2008年、アクシアムに参画。エグゼクティブ・コンサルタントとして、経営者やプロフェッショナル人材、MBA、若手・次世代ビジネスリーダーまで、幅広い年齢層へのコンサルティング、キャリア開発、紹介実績あり。アクシアム参画前は、商社にてアパレルブランドの輸入販売や海外事業開発を手掛け、新規事業の立ち上げと事業の黒字化を達成。事業計画策定、商品企画、マーケティング、リテールマネジメント、組織開発、生産管理などの経験を持つ。海外事業開発をはじめとする“実業経験を持つキャリアコンサルタント”として、個人のグローバルなキャリア、イノベーティブなキャリアの実現を使命とする。

日本キャリア開発協会認定 キャリアディベロップメントアドバイザー(CDA)