転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第201回
2019.12.05

MBA留学中の30代。戦略コンサルへ行く予定だが、その先はどんな選択肢が?

入社以来、海外営業としてキャリアを積んできました。現在30代半ばです。現地で顧客開拓と営業を進めていくうちに、いずれは新興国の発展や成長に携わりたいと思うようになり、経営全般を理解すべくMBA留学中です。

幸いなことに、ある戦略コンサルティングファームからオファーをいただき、それを受けるつもりです。しかしながら、コンサルティングファームで数年経験を積むとすると、30代後半になります。仮にその年齢から外に出るとすれば、どのような選択肢が考えられるのでしょうか? 今後の参考にしたく、お教えいただければ幸いです。

Answer

まずは、戦略コンサルティングファーム様からのオファーおめでとうございます! じつは最近、同様の「ポストコンサルの可能性」に関するご相談を多くいただきます。今回は、ご相談者のように「海外営業×MBA×戦略コンサルタント」のキャリアという視点で、今後の選択肢についてご回答したいと思います。

戦略ファームからオファーが出たということは、既にあなたの実力は評価されていることを意味します。さらに戦略ファームで3~4年の経験を積めば、ある程度コンサルタントとしての力があると採用企業は理解します。そうして戦略ファームを卒業された場合、以下の可能性が考えられます。

(1)事業会社の事業戦略部門や事業開発部門へ展開

海外営業のご経験で培ったセールス&マーケティングの企画力と実行力、戦略コンサルタントとして磨いた経営戦略、事業戦略立案力等を活かし、海外へ進出を目指している企業において、現地との事業提携の実現とその運営を目指すという展開も考えられます。実際に運営まで携われるのか、そしてご希望されている新興国の事業になるかはわかりませんが、現地での事業運営を実現するキャリアにつながる可能性があります。

(2)別の戦略コンサルティングファームで、さらにキャリアを積む

プロフェッショナルとして企業を支援していくことが面白い、ご自身の適性に合っていると思われたなら、「企業の成長支援に携わる」コンサルタントとしてのキャリア形成を目指していただければと思います。自社(ファーム)での可能性が難しい、もしくはより専門性が高いところを目指したいなら、海外進出に強みのあるファームや事業開発型のファームへ展開するというのも1つの方法です。

(3)ベンチャー企業やファンドの投資先企業の事業開発へ展開

スタートアップを含めて、海外展開に力を入れているベンチャー企業で海外事業開発に関わりながら、その企業の成長戦略にも関わるというポジションがあります。転職を希望された時に、ベンチャー企業やファンドに「海外営業+戦略コンサルタント」という人材に対するニーズがあればという前提になりますが、タイミングが合えば魅力的なキャリア機会だと思います。

また、在籍中にプロモート(タイトルアップ)をされた場合、マネージャーとしての実力もある証になりますので、より採用企業から評価され、それぞれの選択肢を手にできる可能性が高まります。

戦略コンサルティングファームでは、どのようなプロジェクトにアサインされるかにより、コンサルタントとして身につくスキームや経験領域が異なってきます。入社時は様々なプロジェクトへアサインされると思いますが、あなたがコンサルティングファームを目指した目的、目的意識を持ちながら取り組んでいただきたいと思います。

幅広くどのようなテーマにでも対応できるコンサルタントは一見素晴らしいように思いますが、キャリア戦略の観点で見ると、強みとなるテーマ(領域)が薄まってしまいユニーク(差別的優位性)にはなりません。

(1)何故コンサルティングファームへ入るのか
(2)ポストコンサルを見据えたキャリアを考えて、どのようなスキル・能力を高めたいのか

を常に自問いただき、さらにもう1つ、時間軸(年齢によるマーケットの変化)を念頭に置いて次のキャリアを考えていただければと思います。

これまで弊社でご相談を承ったMBA人材の方々を顧みると、MBA留学期間+Post MBAで約5年間、おおよそ38歳までに「ユニーク(差別的優位性)×大きな実績」を見える化した人は、経営人材となることが多い印象です。

あなたが経営者を目指しておられるかはわかりませんが、現在30代半ばとのこと。ご自身の価値をさらに広げ、今後の人生に向けてキャリアの資産形成をできる期間といえるのは、おおよそ38歳~39歳までの時間です。このPost MBAの期間が、とても重要になってきます。

先に示したように選択肢は大きく3つ考えられますが、コンサルタントとしてキャリアをスタートされ、半年なり1年なり実際に業務に携わられた後には、「本当に適性があるか」「今後もコンサルタントをやりたいと思うか」など、何か気づきが出てくるはずです。

仮に、「やはり事業会社で実務経験を積みたい」と思われたなら、入社2年目でも動くことはできます。その場合には、なるべく早めに事業会社に移り、実務力をつけていくことをお薦めします。ご自身の適性を見極め、マーケットニーズ(求人)に「これまでの経験+コンサルタント経験」がマッチすると思われたなら、それをテイクすることを考えて頂きたいです。

そもそも、キャリアデザインを見直してみることが必要になるかもしれません。あなたの展望の実現に向け、時間軸を考えた上でのキャリアデザインについて、一度じっくりキャリアコンサルタントにご相談されることをお薦めします。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

大石 順子

株式会社アクシアム 
エグゼクティブ・コンサルタント

大石 順子

大学卒業後、日系消費財メーカーに14年間在籍。その後、マーケティング・コンサルティングファーム、人材育成コンサルティング会社にて、顧客視点のマーケティング(リサーチ&商品開発)、新規事業戦略立案や新商品開発、CS調査・課題解決に携わる。2005年、アクシアムに参画。自らの展望を叶え、現職へ「展職」を果たした。“転々とする転職ではなく展望ある転職=「展職」を”という理念のもと、約10年間、キャリアコンサルタントとしてハイエンド人材のキャリア形成をサポート。キャンディデートひとりひとりの展望を実現すべく、その思いに寄り添った丁寧かつ的確なコンサルティングを提供中。