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転職コラム”展”職相談室
キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。
“展”職相談室 第165回2016.11.02
仕事内容、責任範囲、プロセス…要件が不明確な極秘求人。転職の際に注意すべき点は?
ある外資系戦略コンサルティングファームに勤める36歳です。もともと日系の事業会社でプロダクトマーケティング等を担当していたのですが、米国のビジネススクールに留学。3年前に卒業し、現在のファームに転職をしました。厳しいながらも学びの多い環境で、このままコンサルタントとしてキャリアを重ねる道もあるのですが、自ら企業経営に携わっていきたいとの思いも持つようになりました。そんな折、ある知人から某外資系メーカーが日本での業務拡大のため、ビジネスリーダー候補を探しているとの話をもらいました。先方は極秘裏に人材を探しているらしく、通常の人材募集にあるような具体的な仕事内容、責任範囲、必要要件などを明確に教えてもらえません。また、お話が進んだ場合のプロセスも明らかではありません。とても魅力的なお話であり、このチャンスを活かしたいと思うのですが、不明確なことも多いため躊躇してしまう気持ちもあります。このようなケースの転職の場合、どのような点に留意し面談に挑めばよいのでしょうか?
Answer
ビジネススクールのご卒業後3年間、戦略コンサルタントとしてしっかりと経験を積んでいらっしゃるので、確かに一度外部の機会に目を向けても良いタイミングかもしれませんね。
ご留意いただきたい点は、大きく3つです。それらの観点に照らし、情報が限られている現時点で、今回のお話をご自分がチャンスと捉えられるのか、リスクと捉えるのか、見極めていきましょう。
まず1つめは、この外資系メーカーが「ビジネスリーダー」という言葉をどのように想定しているかです。単なるチームリーダーなのか、それともPL責任を負うようなリーダーなのか。恐らく後者だとは思いますが、ここは確認しておきたいところです。今回のようなケースでは、まずはカジュアル面談からスタートが可能という場合も多いですので、先方と意見交換等をする中で探ることができればいいですね。
2つめは、募集背景です。なぜこのタイミングで、このポジションに外部から人材を登用しようとしているのか。これが分かれば、先方の中でどのような人物が求められているのか、ある程度見えてきます。これが見えていれば、ご自分をアピールしたい場合には、それに合わせた回答もできます。
3つめは、一番重要なことなのですが、色々な要件が明確になっていなくても気にしないことです。このポジションがただのチームリーダーではなく、PL責任を負うようなリーダーだとした場合、さらに言えば新設のポジションだとした場合、事前に仕事内容などが明確に示されることの方が稀なのです。また逆に、それらが明確に求人票などに記載されていたとしても、鵜呑みにはしないことです。なぜならこのようなリーダーの仕事内容そのものに、経営戦略上の機密性の高い事柄が含まれる場合が多く、はっきりと言語化できることだけではないためです。
とはいえ、求人票の段階では明記できないとしても、インタビューの場では、実際に想定されている職務内容や現状のビジネス、組織の課題など、具体的なお話はしていただけると思います。プロセスが進むに連れ、想定されているポジションに関してより具体的に見えてくるはず。現時点では最終的な意思決定を求められているわけではありませんので、少しでも魅力を感じておられるのであれば、まずはお話を進めてみてもいいのではないでしょうか。
今回のようなお話は、経営者やリーダー候補の求人の場合にはよくあります。応募の際は経理財務部長の募集だったものが、実際はCFO求人だったということもあります。さらに、暴論かもしれませんが、リーダーの仕事とは不確定要素が多く、事前に「これをやってください」とはっきり言うことができるものではないと思います。ある意味、ビジネスと同様に「不確定な要素が多い中でも、取るべきリスクが取れるか」「意思決定ができるか」をこの段階で問われている、とお考えいただいてもいいのではないかと思います。
以上、大別して3点、最後は少々乱暴かもしれませんが、少ない情報の中でも取るべきリスク、避けるべきリスクをしっかりと判断していただき、チャンスを掴んでいただければ幸いです。
コンサルタント
インタビュアー/担当キャリアコンサルタント
伊藤 嘉浩
株式会社アクシアム
取締役/エグゼクティブ・コンサルタント
2008年、アクシアムに参画。エグゼクティブ・コンサルタントとして、経営者やプロフェッショナル人材、MBA、若手・次世代ビジネスリーダーまで、幅広い年齢層へのコンサルティング、キャリア開発、紹介実績あり。アクシアム参画前は、商社にてアパレルブランドの輸入販売や海外事業開発を手掛け、新規事業の立ち上げと事業の黒字化を達成。事業計画策定、商品企画、マーケティング、リテールマネジメント、組織開発、生産管理などの経験を持つ。海外事業開発をはじめとする“実業経験を持つキャリアコンサルタント”として、個人のグローバルなキャリア、イノベーティブなキャリアの実現を使命とする。
日本キャリア開発協会認定 キャリアディベロップメントアドバイザー(CDA)