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転職コラム”展”職相談室
キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。
“展”職相談室 第149回2015.07.02
面接でNG続き…はっきり自分の考えを伝えてもよいのでしょうか?
海外の大学へ留学し、帰国したばかりの24歳です。職歴のない新卒です(インターンシップは半年程度経験があります)。外資系企業、そして日系企業も受けたのですが、すでに10社以上から初回インタビューでのNGが続いています。将来は社会起業家になって途上国に貢献したいと思っているので、面接でもそれを主張しています。NGの理由について、各企業から特に教えてもらえていませんが、インタビューでこのような自分の考えを伝えたからなのでしょうか?
はっきりと自分の意見を伝えることは良くないのでしょうか?
Answer
採用面談の場で、はっきりとご自分の主張や考えを企業側に伝えるのは好ましいことです。「将来、社会企業家になりたい」という展望そのものは、おそらくNGが続く理由ではありません。新卒対象の募集要項にしたがって応募をされ、10社以上の書類選考を通過されているのですから、卒業した大学や専攻、インターンシップのご経験なども基本的には採用対象として何ら問題ないということでしょう。
とすれば、初回面談の際にお答えになった内容に、何か大きな問題が潜んでいることになります。インタビュー対策の基本として大切なのは、自分のアピールポイントを整理して準備しておくことに加え、志望動機を明確に伝えられるようにしておくことです。
どんな会社に応募されているのかはわかりませんが、応募先企業や応募先の職業への適正の有無について、ご自身を振り返って整理されていますか? その企業でのキャリアと、将来社会起業家になることの2つは、キャリアの道のりとしてつなげられていますか? もしそれらの点がご自身でも曖昧なまま、将来の夢を語っておられるだけなのであれば、インタビュアーにとってあなたの主張はなかなか理解しにくく、共感しにくいものといえます。
ご自分で脈絡を述べられないなら「将来、社会起業家になりたい」というのはただの願望レベルのお話です。インタビューでは避けられたほうが無難です。漠然と話すだけでは、採用側は「では、何のために弊社で仕事をするの?」と疑問に思ってしまうからです。もちろん、その企業でのキャリア経験と、将来手がけたい途上国への支援・問題解決方法等がストーリーとしてきちんとつながっているのであれば、堂々とお話しください。
新卒で入社した際には、まず3~5年程度、その会社でしっかりとキャリアの基本となるスキルセットを習得することが重要です。ですから、「その会社の社員として何のための働くのか」という志望動機については、それほど難しい答えを用意する必要はありません。ごくベーシックな答えを用意すべきだと思います。また、綿密なキャリアプランを提示する必要もありません。
新卒の場合だけでなくキャリア採用においても、願望だけが先走って夢のような志望動機になっていたり、回答準備をしすぎてかえって論理的に矛盾したキャリアプランを話してしまったりする人が意外に多くおられます。残念ながら、それらの方々はNGの判断を下されることが多いです。典型的な失敗例を挙げるとよく分かっていただけると思います。
「海外のビジネススクールで学んできました。もともと英語ができませんでしたが、2年間現地の語学学校から始めて3年目でビジネススクールに合格しました。ティーチングアシスタントなどをしながらクラスを履修していたので、MBA取得まで3年がかかりましたが、英語力は仕事でも通じるレベルになりました。ぜひ貴社の海外ビジネスの部署でキャリアを積んで仕事ができるようになったら、若い間に発展途上国に行って新規事業を立ち上げたいと思います。」
いかがですか? ここまででなくとも、これに近い回答をされてはいませんか? 上記の回答では肝心の「なぜ貴社なのか」「どんな仕事ができる人間になりたいのか」についてはまったく触れられていません。インタビュアーの心に中には「要点を話さず言いたいことだけを話し、要領が悪そうだ」という印象しか残りません。もう一度、ご自身がインタビューでどのように回答されたか、思い出してみてください。まずは考えすぎず、シンプルにストレートに、ただししっかりとした脈絡のある志望動機・キャリアプランを提示できるよう、準備をし直してみましょう。
コンサルタント
インタビュアー/担当キャリアコンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント
留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)