転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第141回
2014.11.06

技術コンサルタントのキャリアについて質問です。

事業会社で長年エンジニアとして電子部品の開発に携わってきました。プロフェショナルな社員だと自負しています。研究開発、特許申請にもかかわりました。すでに46歳、このまま会社で退職まで頑張ろうと思っていたところ、早期退職プログラムが発表され、部長から申し込むことを暗にほのめかされました。部長としては、あくまで好意として言ってくれたようです。

TOEICも900点程度ありますが、外資の競合他社には転職したくありません。プロフェショナルな技術コンサルタントとして、次のキャリアをスタートすることは出来るのでしょうか?

Answer

「技術士(※1)」「APEC(Asia- Pacific Economic Cooperation) Engineer(※2)」「EMF(ENGINEERS MOBILITY FORUM、技術者流動化フォーラム)Engineer(※3)」など名称を聞かれたことがあるかもしれません。技術士は1957年から技術士法の施行にともない存在してきました。APECも2000年ごろから、EMFも2009年あたりから広がりました。修士号や博士号を取得している人もいれば、実務経験で実績のある人が活躍できるチャンスも多くなっていると聞きます。

ただし、実際には年齢が50歳を超えてくると、おいそれとチャンスはなく、技術士になるための資格取得トレーニングを受講することが与儀なくされるものの、そのあとのキャリアにおける求人ニーズが具体的にどのようなものか不明なままの事が多いでしょう。実際、国際的な技術コンサルタントとなるのは至難の業であると思われます。

お勧めとしては、求人数最多というサーチ会社に登録することです。職としての求人案件を探すだけではなく、ご自身の専門性を生かして、日本の中堅企業やベンチャー企業を探すことをお勧めします。求人していなくてもかまいません。自分でアタックをかけるべきです。

いわゆる財務、会計や人事、セールスやマーケティングといったビジネス系キャリアと異なり、科学技術者としてプロフェショナルであるという自負心があれば、その技術が新しくとも古くとも、生かせる場所、環境はあるはずです。

ただし年収については50%から70%となることを覚悟してください。その覚悟があれば、意外に人生を再設計するチャンスを見つけることができます。これまでの経験を活かして活躍しようということでは成功しません。エンジニア、サイエンティストの使命は、あくまでエンジニアとして開発成果を出すこと、サイエンティストとして研究成果を出すことに他なりません。未来を見つめ続けなければなりません。今まで、揃っていた開発や研究環境、機材、人はないものと考えましょう。加えて、日本に閉じこもる必要はありません。

 

自分で国境を越えて応募できる時代になっています。世界は広いです。前例がないからできることがあります。3か月から6か月かかるかもしれませんが、広くご自身のキャリアを設計開発してください。

※1技術士

※2APEC(Asia- Pacific Economic Cooperation) Engineer

※3EMF(ENGINEERS MOBILITY FORUM、技術者流動化フォーラム)Engineer

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)