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転職コラム”展”職相談室
キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。
“展”職相談室 第131回2014.01.09
多数の選択肢から一社を選ぶには
米国のMBAを来年取得する予定です。卒業時30歳です。すでに投資銀行、戦略コンサルティング、外資系事業会社のリーダーシッププログラム、ベンチャー企業の日本事務所立ち上げGMのオファーをもらっています。どれに決めようか、かなり迷っており、MBAの卒業生を含む先輩方々に相談をしたところ、決める前に一度アクシアムと話したほうが良いと助言をもらいました。アクシアムは多数のMBAとキャリア相談をしてきたと聞いておりますが、今回のように多数の選択肢から一社を選ぶ場合、MBAの諸先輩たちはどのようにして決められたのでしょうか。私は、ありきたりの言い方になりますが、日本経済の低迷に何とか一矢報いたい、グローバルリーダーになりたいと思っています。
Answer
なかなか就職先が見つからないという苦悩もあれば、他方、多数のキャリアの選択肢があって迷ってしまうという苦悩もありますね。
あることについて「それがやりたい」、あるいは「それしかやりたくない」「それしかできない」ということであれば、迷うことはないと思いますので、迷っているということは、まだご自身の中で「それがやりたい」「それしかやりたくない」「それしかできない」というものが明快になっていないからなのかもしれませんね。逆に「何もできない」「何でもできる」という場合も同じような迷いが生じてしまいますので、ご留意ください。
「日本経済の低迷に何とか一矢報いたい、グローバルリーダーになりたい」とおっしゃっているので、なりたい姿は見えているようですが、その姿ははっきりと具体的になっていますか?
やりたいことや、やれることは経験とともに変化していき、更には環境も時代の経過とともに変化していくものです。そのような変化しうる、不確定な時流の中でこそ、しっかり自分の使命やビジョンを持ち、あることについて10年後、20年後にも本当にやり続けていたいことかどうかを考えることができる人、コミットできる人が強い人といえます。将来に向けて今、意思決定ができ、10年後、20年後に変化が起こっていても軸がぶれないということ。強いということです。
冒頭でも触れましたが、ご自分の使命やビジョン、すなわち自分が何をやりたいのか、自分が何者になりたいのかを本気で決めることができていれば、その判断軸に沿って考え合理的に決定すれば良いのですから、多数あるオファーから一つを選択することも容易なはずです。
繰り返しになりますが、「日本経済の低迷に何とか一矢報いたい、グローバルリーダーになりたい」という希望は、まだ明快、具体的なビジョンではないですね。疑ってかかるか、あるいは、もう少し明快にしておく必要があります。
もし貴方がその「日本経済の低迷に何とか一矢報いたい、グローバルリーダーになりたい」という希望を叶えるために、どのオファーを選択するべきかと質問をするならば、私の回答は、現在ある4つの選択肢のいずれを選択しても希望は叶えられるでしょう、となります。どの選択肢で、どのように行動すれば、それが実現化するかということについてはプラン次第でもあり、また偶然性にもよりますが、いずれの職業からでも実現可能といえます。本来ならば、このようにシンプルに一問一答でお答できるものではありませんが、それができてしまうのも、そもそも「グローバルリーダー」というものが漠然としているからです。「グローバルリーダー」とは具体的にどのようなものでしょうか?経営者ですか?プロフェショナルですか?何ができる人をグローバルリーダーというのでしょうか?
「グローバル」とは何か?「リーダー」とは何か?その2つの解釈をもっと掘り下げて考えていけば、一つのキャリアを選択することができるはずです。考えた時に、情報が不足していたり、思考が不十分であったりすれば、その選択は上辺の見せかけのものとなり、後々後悔が生まれます。後悔しないためにも、今、深く思考してください。会社や職種を選ぶのではなく、またプラスマイナスを判断するだけでもなく、時間軸を最優先して、将来を見据えてしっかりと考え抜きましょう。考え抜いた後、最後はガッツフィーリング、自分の心で、後悔はしない、後悔しても良いと思える一つを選んでください。選んだ限りは、成功させる方法があるはずです。成功に向けてやれることを全力でやりましょう。
貴方は今、MBA卒業後のキャリアを考える、とても大事な時期にあります。特にMBA卒業後の2~3年が、どのキャリアを選択するかということを通して、その人の価値観が人生の中で最も顕著に出てくる時です。もしかしたら、ご自身で間違ったと思う選択をするかもしれませんし、または正解と思う選択をするかもしれません。
いずれの場合も、経歴にしっかりと残るキャリアです。でも、もし間違ったとしても、32~33歳までであれば、キャリアチェンジ(修正)が可能です。35歳以降となるとアウトプットが重要になり、残念ながらそれが叶いません。MBAという資産を持っているだけではもちろん通用しません。40歳以降ともなれば、MBA後のキャリアにおいて何を成し遂げたかが問われます。言ってみれば、MBAが最も評価される時期は、MBAを使って実績を作る時間を沢山保有している35歳までです。より厳密にいうならば、35歳までというよりも、MBA後30年近くも続くキャリア/人生において、軸を持ち続け、価値を生み出し続けられるかが評価の対象になるということかと思います。
ぜひすぐにでもアクシアムの個別相談にお越しください。今であれば、どの選択をすれば、その後どう展開していけるのか等、様々なシナリオをご案内することができます。くれぐれも、35歳になって、選択に失敗してから相談にいらして「あの時はあまり考えずに気合で決めてしまった」とか、「その会社の社長から熱心に誘われたので決めた」とか、「ブームだったから」とか、「先輩が薦めてきたから」とか、自分で決めなかったようなことは言わないでくださいね。
成功には偶然がつきものかもしれませんし、失敗について後から理由を考えることもできます。でも、偶然が起きる場所、起きるその時にそこにいなければ、偶然も起こりませんし、あらかじめ成功のシナリオを考え、チャンスが来るだろう場所、時間を自らが選んで、そこへ自らを行くことが大事なことだと思います。
コンサルタント
インタビュアー/担当キャリアコンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント
留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)