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転職コラム”展”職相談室
キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。
“展”職相談室 第125回2013.07.04
事業会社で経理経験を持つ28歳。グローバルな経営者になるにはMBA、USCPA、公認会計士のどれが有効でしょうか。
大手メーカーの経理部からキャリアを始めて、工場の管理部などを経て、28歳になりました。リストラなども起こっている業界なので、私の会社も、近いうちに早期退職制度が発令されることが予想されます。勤続年数から退職金は200万円にもならない程度だと思いますが、先輩を見ていると、総合職がどのようなキャリアになってゆくか大体見えてきましたし、勇気を持って会社を出て、将来はグローバルな企業の経営者となれるように転職したいと思います。
MBAかUSCPAか公認会計士か、どれかを取得したいと思いますが、貯金がなく、退職金を使用する予定なので、MBAは断念せざるを得ないと思います。なお、英語力は幸いにしてTOEICで950点ですが、海外経験はありません。
Answer
複合的なご質問ですが、3つの要素に整理して考えてみましょう。
【1】 28歳の経理マンが、将来グローバルな経営者になるのはどうしたらいいか?
【2】 MBA、USCPA、公認会計士は、どれが有効か?
【3】 予算が200万円しかないが、どうすればいいか?
【1】の回答としては、マネージャーではなく経営者を目指すのであれば、経理、会計、財務、税務などを極めてゆき、コントローラーやCFOというのがゴールとして想定されます。 グローバルな経営者といっても、日系企業と外資系企業との違い、本社CFOと子会社CFOとの違い、ベンチャーと大手企業と中小企業、などの違いもあります。ここではお答えしきれないので、日本の大手企業、外資系日本支社、ベンチャー企業の違いだけを下記に述べさせていただきます。求められるものが異なることを知っていれば、求められる経験を積んでいくことがそれに至ると言えます。
◆日系大手企業CFOの要件
日系企業で大手と呼ばれる企業では、何より長年勤務していることが求められ、外部から採用することはほぼありません。ここではある程度のサイズで数百億から数千億円程度の売上規模の会社が外部から採用をするようなケースを想定しています。具体的な例を挙げると、PEファンドによる再生案件、あるいは未公開の大手企業が外部から採用するようなケースになります。
- 経営戦略と経営経験
- 経理・財務業務を長年に携わり、経理部長あるいはコントローラー等のマネジメント力
- リーダーシップと実績
- 数十名の部下の管理と、PL、BS、CF管理の経験
- 資本政策、予算計画立案と管理、資金管理、金融機関との取引経験
- 客観的な事実に基づく分析力と論理性
- 海外オフィスとの交渉・調整が可能な高いレベルの英語力
- 生産殻販売までをカバーした経験
- M&A、PMIの経験
- 税務知識
- 監査経験
◆外資系日本支社CFOの要件
- 経理・財務業務を10年以上携わり、経理部長あるいはコントローラー等のマネジメント経験者
- 経理、財務、管理会計、ビジネス分析、ファイナンス面からのコントロール経験者
- 米国GAAP、SOX法を理解し、英文レポートができること
- 客観的な事実に基づく分析力と論理性、マネジメントへの企画提言
- 本社、海外オフィスとの交渉・調整が可能な高いレベルの英語力
- SAP等のERP会計系ソフトを用いた経理システム経験があれば尚可
- MBAまたは米国か日本でのCPAを取得していれば尚可
◆国際化とIPOを目指す、ベンチャー企業CFOの要件
- 子会社の経理決算・財務業務の経験者
- 国際会計基準への理解あれば尚可
- IPO準備、経験、知識など優遇
- 資金調達経験
- 連結決算、資本政策、事業計画策定などの実務スキル
- 金融関連との折衝力
- 要英語力
【2】MBA、USCPA、公認会計士のどれが有効かという問いに対しての回答として、日本企業でCFOになるには、どれも必要ありません。しかし外資系会社ではUSCPAが必須となっていることが多く、MBAホルダーであれば尚可というところです。グローバルなベンチャー大手はMBAホルダーがCFOを担っていることが増えてきましたが、ベンチャー企業CFOの多くは、公認会計士や金融出身者が多く見られます。
【3】の予算が200万円しかないということに対しては、かける時間とお金によって、どのようなキャリアになるかを今一度考えることをお勧めいたします。また、奨学金などを活用することも積極的に検討すべきでしょう。会社を辞めて公認会計士やUSCPAの受験に備え予備校に通学する人もいますが、会社を辞めなくても通信講座や夜間のコースで準備をする人もいます。MBAについてはオンライン講座や、授業料も安く数百万で取得できる学校もあります。トップスクールは生活費、授業料など総額で2000万円程度となりますが、授業料などコストだけで決めることは危険です。ネットワークやそこから得られる機会は学校によって変わってくるためです。
また、仮に現在の年収が500万円だったとして、年収が卒業時にどれだけの年収になるかということだけを考えることも危険です。MBA合格までにかかる費用を200万円として、授業料、渡航後の生活費などを合わせてMBA留学総コストが2200万円。退職することで失う2年間の収入1000万円を合わせて、3200万円の支出があったとしても、奨学金やローンで手配しながら、トップスクールに留学した場合には、卒業後数年で元が取れます。卒業時という短期的なことよりも、もっと長期的に生涯年収がどうなるかを考えるべきです。
グローバル経営者になっていくにはMBAでも、CPAでも、公認会計士でもいずれも有効で、経済的なことも重要ですが、それよりも賭ける時間とお金によって、どのようなキャリアになるか、いつ、どのようにキャリアの資産といえる学位や資格を生かしていくのかを考えることの方が重要です。
コンサルタント
インタビュアー/担当キャリアコンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント
留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)