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転職コラム”展”職相談室
キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。
“展”職相談室 第117回2012.10.04
経営を目指すなら、どちらが良い選択肢?
外資系企業に勤める39歳、MBAホルダーです。20代、30代と一貫してグローバル企業でキャリアを積んできました。事業開発、経営企画の経験があり、現在はスタッフ数十名の事業部の部長でPL責任を負っています。将来は日本だけでなくグローバルレベルで経営に携われる人材になりたいと思っています。先日、アメリカ本社より現職社内における次のキャリアとして2つの選択肢を提示されたのですが、今の時代、どちらが評価されるのでしょうか?将来経営者を目指すという観点で考えた場合、どちらを選択すべきでしょうか?
選択肢1: グローバルプロジェクトマネジメント
日本を含むアジア全体を統括します。財務、会計、法務、セールスなど経営全般とPLの責任を持ち、現在より多い、数百名の部員を統括することになります。
選択肢2: 国内新規事業開発
数名の部員と共に日本市場向けに新しいサービスを開発します。売るための仕組みづくりが業務の中心となりますが、本社直轄で推進します。私自身、新規事業開発は初めてで、現職企業としても同事業分野については新規市場参入となります。既に競合他社の日系大手企業が競争優位性を築いていることから、かなりチャレンジングな取り組みとなることが予想されます。
Answer
非常に良いご質問ですね。いただいた情報のみでの判断となりますが、将来経営を目指されるということであれば、選択肢2をおすすめします。
選択肢1の、グローバル環境でPL責任を持って大規模組織を統括する機会というのは、たしかに大変魅力的です。英語力を伸ばしたい方や海外志向の強い方であれば、なおのこと選択肢1を選びたくなるでしょう。しかし、貴方は既にグローバル企業でマネジャー職にあり、数十名の部下とPL責任をお持ちなので、アジア全体の統括やより大きな組織の統括が経験できるとしても、選択肢1は貴方にとってストレッチ(能力開発)の幅が小さいように思います。
将来グローバルレベルで経営に携われる人材になりたいとのことですが、そうなるためには何が必要でしょうか。何をしておくべきでしょうか。外資でも日系でも、ベンチャーでも再生でも、企業経営の責任者(経営者)となるには、修羅場ともいえるハイリスクな挑戦に打ち勝って、成果に繋げた経験と実績が不可欠です。転職市場ではまさにそれをやり遂げた人/出来る人が評価され、求められています。経営を目指すのであれば、その経験、実績を獲得できる機会を掴んでいくことです。
【選択枝2をおすすめする理由】
- 理由1)未経験の新規事業開発に挑戦する機会
初挑戦というだけでなく、競合他社が立ちはだかる市場への新規参入となるため、より緻密な戦略が必要になることに加え、困難な判断・意思決定が要求されると予想できる。修羅場を経験するチャンス。
- 理由2)国内新規事業開発とはいえ、グローバルな取り組みになること必至
対象としている市場が日本というだけで、グローバル企業である現職企業も顧客も、そして自身もグローバル環境の中に在るステークホルダーであり、それらを取り巻く新規事業戦略で、課題解決でもあるので、単純にドメスティックビジネスとして片付けられない。グローバルな要素を考えずして遂行することはできない。
- 理由3)経営に必要な能力、スキルを身につける機会
企画、実行力に加え、戦略思考、判断力、リーダーシップ、アントレプレナーシップを養うチャンス。
理屈上は選択枝2が良いといえますが、決して、選択肢1が悪いということでもなければ、どちらの選択肢が正しくて、得だとか損だとかいうことではありません。選択肢1を選んだからといって、経営を目指せない訳でもありません。大事なことは、貴方が将来目指すもの(展望)を実現させるために必要な選択をするということ。選択をしたら(決めたら)、3年~5年かけてでもやり遂げ、成功させて実績をつくり、その後も展望実現に向けて継続的な努力を惜しまないことです。
悩むところですが、後悔のない選択をしていただければと思います。
コンサルタント
インタビュアー/担当キャリアコンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント
留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)