転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第84回
2010.04.08

離職率が高い会社だが成長している企業でもあり、転職するか判断を悩んでいるのだが…。

モバイル系のベンチャー企業に勤めている27歳のシステム開発エンジニアです。離職率が高い会社ですが成長している企業でもあり、転職すべきか判断を悩んでいます。

Answer

離職率が高いだけで職を考えるというのは、本末転倒な話です。

離職率が高いとのことですが、実際何%なのでしょうか。5%を高いとおしゃっているのか、20%程度あって高いとおしゃっているのか、ご質問からは定かではありませんので何とも申し上げられないところもあります。定量的に比較されるのであれば同業他社の離職率と比較する、もしくは日系企業と外資系企業での違いを確認するなども必要ですし、会社の規模や創業からの年数なども関係するかもしれません。

そして何よりも、離職率だけではなく離職する理由をいくつか掘り下げて考えてみられることをお勧めします。

退職理由には実に様々なものがあります。 それに加え、退職者本人が上げる理由、あるいは会社に公式に伝えている退職理由などは、いずれもあまりあてにならないと思ってください。本音や本質的な理由は別にあることのほうが多いものです。多くの人が辞める本質的な理由・原因は何なのかを探る必要があると思います。

もう一度、離職率の話に戻ります。

そもそも組織にとって、人の入れ替わり、つまり新陳代謝は当然必要です。 人間でも、10代の成長期には骨格がきしんだり、痛みを覚えたりする人がいます。組織が成長し、健康であり続けるあるために細胞が入れ替わることは、ある程度必要なことなのです。

とくに急成長をする若いベンチャー企業であれば、成熟した(あるいは年老いた)大手企業とは異なり、新陳代謝は活発であって当然です。むしろ、新卒や中途で採用した社員が、誰も(定年となるかやむなき事情がない限り)辞めない組織があったとしたら、かなり危険な状況であるとさえ思われます。(大企業病の始まりとみて取れます。大企業の経営者はそこで悩んでいたりします。)

その点、大企業と同様には考えないほうが良いということです。

たとえ離職率が15%であっても、ご自分の成長と会社の成長のリンクがしっかりできていれば、離職する必要はありません。離職してゆく人達と自分が同じわけでもないでしょうし、離職率で会社を診断する必要はないと思います。人が辞める本質的な理由・原因は何なのかを探ってから判断してください。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)