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転職コラム”展”職相談室
キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。
“展”職相談室 第82回2010.03.25
NGO/NPOなどのキャリアを将来考えているがどうすれば探せるか。
大学を卒業し、3年間、出版会社で営業職を務めてきました。いわゆる広告営業、企画営業といわれるものです。仕事そのものは大学時代から希望していた仕事でやりがいもあるのですが、最近、もっと社会貢献に直接かかわりたいと思うようになりました。
NGO/NPOなどへの転職も考えているのですが、どうすればいいのでしょうか?
Answer
まずNPO/NGOを探す方法ですが、これはそう難しくありません。
1998年に特定非営利活動推進法が制定されて以来、現在に至るまで日本のNPOは増加傾向にあり、今や内閣府の認証団体で約3,000、各都道府県の認証団体で約36,000が存在します。新規設立そのものは2005年あたりから鈍化していますが、政府認証のものなどはネットで調べても簡単に見つけることができます。 NGOも日本に本部を置くものは数が限られていますので、ネットですぐに見つかります。探すのにそれほど苦労はないはずです。
ただ、一言で社会貢献といっても様々なテーマがそれぞれのNPO/NGOによって掲げられていますので、まず目的別で探してみることが大事です。
次に、そのテーマを自分なりに掘り下げ、研究してみることです。ただし何年もかかって研究していても答えは出てこないので、短期に現在の課題を抽出することが大事です。
その課題に対して、本気で取り組みたいと思えば、いよいよ、その対象の団体にコンタクトを取ります。
幸いにもその団体が人員の募集をしているのであればすぐに応募ができますが、募集していなければ、自らの力で門戸を開けなくてはなりません。「募集していなくても採用を考えて欲しい。応募したい。その理由は以下のとおり。また自分はこのような点で貢献できると考えている。」というような志望動機を明記し、手紙やEメールで応募します。
その結果採用されるかどうかは、各団体の審査基準次第、応募者のスキル、能力、経験、志望動機次第です。
以上のように、探す方法と応募方法はいたって簡単ですが、実際にキャリアとしてNGO/NPOを考えるとなると、そう簡単ではありません。
NGO/NPOは、最近はソーシャル・アントレプレナー、社会企業家が注目される流れもあって、年配者よりも若者の関心をより集めています。これは社会全体ではとてもプラスになっていると思います。
ただし、日本のNGO/NPOのキャリアにおいては、海外のNGO/NPOでのそれに比べどうしても見劣りがしてしまうといわざるを得ません。NGO/NPOのキャリアを考えるなら、特に以下の4点についてはしっかり認識しておいて欲しいと思います。
- NGO/NPO出身者の再雇用の機会が少ない。
- 団体の経営面でみると、戦略性、経営力、財務体質が弱い。
- なんでも屋さんになってしまい、職能開発として専門性にかけてしまう。
- 年収については、海外のNGO/NPOなどは高いところもあるのに比べ、日本ではどうしても低くなってしまいがちである。まだはっきりとした統計はないものの、20代で350万円程度から始め、40歳になっても、500万円程度にしかアップしないところが多い。
つまり、社会貢献への熱意があっても(熱意で飛び込む人が多いものの)、キャリアとしては出口が見えないことが多いといえます。従い、年収についてなど、家族も含めて本当にそれで人生を組み立てられるのかを真剣に考えておく必要があります。そうでないと、熱意が冷めると同時にキャリアとしての選択肢を失うことになりかねません。
それでもNGO/NPOへの転職を志望するのであれば、転職する前にしっかり市場価値のあるスキル、経験、強みを作っておくことをお勧めします。
セールスとしての確たるスキルや実績など、キャリアとしての強みがあれば、3年後にもう一度営利団体(一般企業)に移ることも可能です。もし、現時点で営業力がまだ自信がないということであれば、もっとポータブルなスキルを獲得してからNPOに転職したほうが、逆に貢献できる度合いも大きくなるでしょうし、また万が一、そのNPOから離れる場合も営利団体に戻りやすくなるでしょう。
コンサルタント
インタビュアー/担当キャリアコンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント
留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)