転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第61回
2009.04.09

米国と欧州のMBA校から合格通知が。将来のキャリアによりプラスになるのは…

数年前からMBA留学を志し、この春、念願が叶って合格通知を手にすることができました。合格したのは米国の某中堅校と、欧州の某有名校(グローバルでのランキングは、おそらく中~上位)の二つです。

卒業後は戦略コンサルティングファームへ入り、グローバルな案件にも携わっていきたいとの目標を持っているのですが、米国と欧州、将来に向けどちらの選択が自分のキャリアにとってよりプラスとなるでしょうか? また、目標の実現のために有利でしょうか?

Answer

「米国と欧州」「有名校と中堅校」の違いについてのご質問ですが、グローバルなビジネスやプロジェクトに関わっていきたい方にとって、どちらの選択も絶対的ではなく、留学先でどのように活動されるか、何を得るかが本質的に重要なことといえます。特に、大きな優劣の差はないように思います。(米国のトップスクールが選択肢の中にあれば、もちろん圧倒的に有利といえますが。)

まず、戦略コンサルティングファーム各社の採用担当者にヒヤリングされてみれば分かることですが、選考の際には、留学前の大学・専攻・職歴・経験業務・実績なども重要な要素として勘案されます。ですから、まずそのようなバックボーンが合致していなければ、米国でも欧州でも、有名校でも中堅校でも、戦略コンサルタントへの道は厳しいものになることが予想されます。職歴に関しては、各ファームとも大手企業がお客様になることが多いので、やはり大手企業経験者が有利でしょう。日本の大学のランクを重視するところもあり、どの大学でも等しく審査してもらえるということはありません。ただ、10~20年前に比べると、対象となる大学は格段に広がった印象を持っています。

つぎに、MBA留学前のバックボーンが要求要件とほぼ合致していたと仮定してお話します。米国の中堅校でも欧州の上位校でも、コンサルタントとして要求される論理的な思考力・コミュニケーション力・知力・体力・見識などがあれば、十分にアプローチができるでしょう。最近では、35歳以上の候補者でも能力次第で採用されることが良く見られるようになりましたので、年齢の点でも間口は広がってきました。

日本人の海外MBAホルダーが減少傾向にあるなか、留学生にとって可能性は十分に等しくあるといえますが、一点、お伝えしておきたいポイントがあります。もし希望されておられるファームがあるなら、そのファームが検討中のビジネススクールをリクルーティングのために訪問するかどうか、必ず確認しておかれることをお勧めします。米国か欧州か、有名校か中堅校かという点よりも、むしろ訪問のあるなしによってチャンスの広がりが違うように思います。

卒業生がそのファームに就職しているかなども、学校のサイトやファームのサイト等を調べればすぐに判明します。漠然とした不安や疑問を持たれるよりは、インターネットや合格者同士のネットワーク等を駆使して、より具体的な情報収集を行い、決断されればよいと思います。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)