転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第52回
2008.11.06

希望の職務だが、年収面に不安のある企業との面談を控えています

現在、転職活動をしている者です。先日、志望するある企業の面談を受けたのですが、残念なお返事をいただいてしまいました。面談を振り返って、具体的な仕事内容や年収面について話題が及んだ際、少し本音で話しすぎたかと自分自身では反省しています。

近々、別の企業との面談を控えていますが、じつはその企業については仕事内容に大変興味を持っているものの、年収に関して現状より低いのではないかと気になっています。職務や年収について面談の場できちんと聞きたい気持ちがある一方、前回のこともあり、当日が不安です。どのような点に気をつけて、次回の面談に望めばよいでしょうか?

Answer

志望する企業の面談にまで進みながら、先方からお断りをされてしまうと、誰しも不安になってしまいますよね。まして相手は人を見るプロ。臆してしまうお気持ちは、よく分かります。ですが、そんな時こそ、より前向きなアプローチを心掛けなければいけません。

マイナス思考と、プラス思考。例えばそれぞれの心理で面談に望んだ場合の比較(シミュレーション)をしてみました。

■マイナス思考の場合

年収が現状より低いかもしれないと、心配したまま面談に望む。

  • ⇒ 面談の場で、本来するべき自分の経験・能力等の十分なアピールができない。
  • ⇒ 企業の面談担当者に「覇気を感じない」「志望度が低いのでは?」と思われる。
  • ⇒ 何社か同じように面談を進めるが、オファーがなかなか出ない。現在の年収を下げてでも入社する意思・熱意があるか、確かめようとする企業も出てくる。
  • ⇒ オファーがなく益々不安になり、きちんと企業側から必要な情報を聞き出すことができない。
  • ⇒ 企業側の採用意欲も高まらず、オファー(最終)面談へ進めたとしても、消極的な交渉になってしまう。
  • ⇒ 結局、納得のいく年収提示を得られず、オファーの受け入れに悩み、躊躇する。
  • ⇒ オファーを断ってしまい、結果、キャリアのチャンスや大切な時間をロスしてしまう。

■プラス思考の場合

年収額が気になるが、自分の能力を伝えられれば後からついてくるものだと切り替えて、面談に望む。

  • ⇒ 面談で、積極的に自分自身を売り込む。
  • ⇒ 企業の面談担当者は、熱意・意気込みを感じ、ぜひ採用したいと思う。
  • ⇒ 何社か同じように面談を進めるうち、オファーも出始める。
  • ⇒ オファーを手にしたことで、自信を持って様々な内容を企業側からヒアリングすることができる。
  • ⇒ 企業側は、さらにぜひ採用したいと思い、当初の予想より高い年収が提示される。
  • ⇒ オファー(最終)面談でも積極的な交渉ができ、企業側の年収提示の最大化ができる。
  • ⇒ 結果、迷うことなく楽にオファーを受け入れ、キャリアのチャンスを掴める。

いかがですか? 上記のような極端な結果は実際には稀(まれ)だとしても、面談は人と人とが向き合い出会う場であり、心の持ち方が及ぼす影響は、決して少なくありません。また、採用企業との面談の中で、ご自身の見識・価値観が磨かれていくという側面もありますので、マイナス思考に陥りそうな時には「第一線で活躍する人とディスカッションできる貴重な機会だ」というぐらいに捉え、ぜひ前向きな気持ちでトライされることをお勧めします。

※なお、面談の場での年収交渉については、拙稿「第45回:初めての転職。希望年収の提示タイミング、交渉の注意点とは?」をお読みいただければと思います。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)