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転職コラム”展”職相談室
キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。
“展”職相談室 第50回2008.10.09
選択…コンサル会社のマネージャーか、ベンチャー社長の右腕か?
大学卒業後、某シンクタンクにて勤務し、その後、現在所属中の外資系コンサルティングファームに転職をしました。主に中長期計画や事業ポートフォリオの策定に携わり、それなりの自己成長を遂げられたと考えています。
現在31歳。仕事にやりがいを感じつつも、フレームだけの限界と「意思決定」「運営」をしたい思いが強まり、別のキャリアチャンスを探し始めました。幸い縁あって、あるベンチャー企業の事業開発のポジションのオファーをいただき、社長の右腕的に動けそうなことからも転職へ気持ちが動いています。
ところが、同時に社内でもマネージャーとしてプロジェクトをリードしてほしいという話をいただいてしまいました。当初の思いを大切にして、ベンチャーへいくべきでしょうか? それともマネージャーとなって、コンサルタントとしての能力や実績を、まずは上げるべきでしょうか?
Answer
私のこれまでのキャリアコンサルタント経験の中で、コンサルタントからベンチャー企業に転身し成功された30歳前後の方には、ある共通点があったように思います。それは、他者がみても「なるほど」と思える選択・決断の理由をお持ちだったことです。いま思い起こして考えてみても、よく入社時にそれを選択し、決断できたなと思う一方、納得性のある判断基準を各々持っておられました。
それは以下のようなものです。
■ 社会の趨勢を自分なりに検証し判断すると、この会社の持つこの技術/製品/サービスを広めるには、今のタイミングを逃すことができない。標準化されたコンサルタントの仕事はいつでもできる。だからリスクを取っても、今ならチャレンジする価値がある。
■ この会社の資本政策、社長などの経営人の資質、会社としてのコンピテンスは素晴らしい。コンサルタントあるいはプロジェクトマネージャーとして活躍しても、何年たっても知りえない領域をこの会社なら知り、経験することができる。自分の能力を高める意味、そして知的好奇心の観点からも、選択したい。例え失敗しても、得られるものは大きいと思える。
■ 社長の右腕となることは、コンサルティング会社では得られない機会を自ら求めること。自分(会社)のために仕事をする、つまりコミットメントを痛感しながらこれからは働いてみたい。
逆に、冷静さをなくしたままベンチャーへ飛び込み、残念ながら失敗してしまう方もおられます。やはり彼らにも「なるほど」と思ってしまう理由があるように感じます。以下は、後日彼らが語った言葉です。
■ ベンチャー社長の右腕と言われ、はしゃいでしまったが、実際の仕事は雑用レベルのものが大半だった。何でも自ら行うという経験はできたものの、結局はジェットコースターのように疾走しただけで終わってしまった。
■ 株主の思惑と社長の思惑にくい違う点が多く、何を基準に仕事を進めればよいか、わからなくなってしまった。自分自身が明確に「経営者」として参加するのであればまだ納得もできるが、現実はあくまでもベンチャー企業のいち社員。スタッフレベルの仕事量も多く、思ったほどの経験は積めなかった。逆に、コンサルタント時代より合理的に判断する力が損なわれてしまった感まである。
■ ベンチャー企業に就職する、という考えそのものが自分にとっては間違っていたかもしれない。会社や事業に対し「人生をかけてもやる」というほどの意識が欠けており、30歳の自分では「人生をかけてもやりたいか」という見極めもできていなかった。社長が語る「ベンチャーはやる気だ、決断力だ」という言葉に、同意・共感しきれないまま入社したことも反省している。
いかがですか?
思いつくだけでも、このようなコメントが成功者と失敗者からありました。コンサルティングファームがいいのか、ベンチャーがいいのか、最初から決まった正解はありません。これらのコメントを参考にしていただきながら、現在検討されている2つの道について吟味され、また、ご自身の中にある希望や志向や覚悟を確認され、判断していただきたいと思います。
コンサルタント
インタビュアー/担当キャリアコンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)