転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第39回
2008.05.01

企業再生がキャリア目標。身につけるべきスキル・経験は?

大学卒業後、ある日系金融機関に就職し、法人融資の業務を約3年行っています。自分自身の業務、また様々な出版物やセミナー等を通じ、「企業再生」「事業再生」という仕事に強く興味を持つようになりました。

そのような仕事を手がけられる人材になるためには、今後、どのような経験やスキル(あるいは資格など)を積んでいけばよいでしょうか? まだまだ漠然とした目標かもしれませんが、これからの自分のキャリアプランを立てるためにも、教えていただければと思います。

Answer

日本の労働市場には”ブーム”というものがあり、これが少し困ったものになっています。80年代後半は、それが「海外投資」と「M&A」でした。それが90年代になって「投資銀行業務」となり、90年代後半には「ベンチャー投資」になりました。2000年を迎えると、そのベンチャー・ブームが去り、現在は「企業再生」へと変化してきています。

まず、ご質問に質問をする格好になってしまい恐縮なのですが、ご相談者は金融機関で企業再生や事業再生をテーマに仕事をしたいと考えておられるのでしょうか? あるいは、企業再生の最中にある企業で仕事をしたいとお考えなのでしょうか? おそらく、その分別がついておられないので、このような漠然とした質問になってしまうのだと思います。

企業再生の仕事といっても、どのような立場でそれに関わるかで、求められる知識もスキルも経験もまったく異なります。弁護士として?会計士として?経営者として?CFOとして?営業マンとして? はたまた銀行として?ファンドとして?投資銀行として?コンサルタントとして?…などなど枚挙にいとまがありません。

現職の銀行の中でも、法人融資を通じて企業再生に関わられることもあるでしょう。そのようなご経験等の中から、まずは根本的に、どうして企業再生に関する仕事を手がけたいのか、ご自分でしっかりと見つめてください。単なるブームに乗って関心があるというだけでは、キャリアデザインをすることができません。

ご自身が関心を持った根本的な理由が把握できれば、その理由を解決する道を探す、創造するといった目的が生じます。その目的こそが、キャリアプランの基本戦略になり得ます。そして、そのキャリア戦略を実行してゆけるスキル・経験を獲得していけばいいのです。そのようなスキル・経験を積める産業や業界や職種を考え、選択していけば、目的は実現化します。

いとも簡単です。

しかしながら、漠然と稚拙な関心に留まったままでキャリアを考えていると、時間はどんどん過ぎ去り、足元をすくわれてしまいます。20代、大切な時間を、ぜひとも人生の有効な投資として使いましょう。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)