転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第18回
2007.05.31

ビジネススクール卒業後、外資系に行くのが王道ですか?

アメリカのビジネススクールのMBAプログラムに在籍中の者です。前の会社を退職して留学したため、卒業後の就職に向けて悩んでいるところです。

MBA卒業後のキャリアとして、外資系企業に行くというのが半ば王道になっているように感じるのですが、現実はどうなのでしょうか?やはりMBA生の選択としてベターなのですか?また、卒業直後に外資系に就職した場合、そこで数年経験を積んだ後に日系企業に転職することは、ありえるキャリアプランでしょうか?

自分は卒業時には32歳になり、今まで外資系企業に勤めた経験がありません。学んだことを十分活かして働きたいと思いつつも、一度外資系に入ってしまうと、その後もずっと外資系でキャリアを重ねていかなければならないのか、とも思います。ぜひアドバイスをお願いします。

Answer

「王道」というのが、その道に進む人が多いという意味であれば、そうかもしれません。そもそも英語力がないと外資系企業においてビジネスやマネジメントができませんので、アメリカのビジネススクールを卒業した方々の中で、外資系企業に就職する人の割合が多くもなるのでしょう。

しかし、日系企業に就職する人もおられますし、ベンチャーを自ら起こすような人もいます。外資系にいったん就職して、その後、日系に転職する方もいます。「MBA=外資ばかり」という固定概念を、どこで持ってしまわれたかは分かりませんが、もっと柔軟に考えても大丈夫です。

ただし、日系企業(特に大手)について知っておくべきポイントは、転職先として考えるタイミングが35歳以降になると、ほとんど外部から人材を採用しない、つまりでチャンスが非常に少ないということです。しかしながら、PE(プライベートエクイティ)などが外部から入って株主が交代した場合には、逆に外部からマネジメント人材を投入しますので、その常識も覆ります。

そのようなケース以外では、日系の大手企業の採用は、主に35歳以下になります。同じ日系でも中堅・ベンチャーであれば、35歳以降でも求人は存在します。

ご質問の中にある「一度外資系に入ってしまうと、その後もずっと外資系でキャリアを重ねていかなければならない」状況なのではなく、日系の大手企業が外部から35歳以上の人材を採用しない現実があるので、マネジメントを目指す人は、自然と外資系、ベンチャー、あるいは企業再生ビジネスの3通りの道に進むことが多くなるのです。

最初から転々とするキャリアプランをお考えになるのではなく、もっと外資系企業/日系企業それぞれの組織、マネジメント、文化の違いについて理解を深められてから、キャリアデザインをされることをお勧めします。もちろん、お一人で理解を深めるのが難しければ、情報源・アドバイザーとして我々のようなコンサルタントを活用されるのも、有効な手段だと思います。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)