転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第7回
2006.11.28

28歳、MBA留学を決断すべきか?現職でスキルを磨くべきか?

来年のMBA留学を目指し、出願書類などを準備中の27歳です。
ある金融機関で、資産運用部門の企画・商品開発を担当しています。
MBA留学を希望している一方、現在の仕事もやっと面白みがわかってきたと感じており、留学のために職を離れていいのか迷っています。

28歳となる来年、MBA留学を決断すべきでしょうか?
あるいは、資産運用の部門でもう少しプロフェッショナルスキルを身に付けてから、留学すべきでしょうか?

Answer

ずばり、ご回答は「両方ともイエス」です。

今年出願され、来年(28歳時点)から早めに留学されるのも今後のキャリアとって実り多いことです。また現職のまま、もう一年程度キャリアを積まれ、プロとしてアセットマネジメントのノウハウを身に付けてから(つまり、2008年29歳時点から)留学されても決して遅いということはありません。

ただし、キャリアを重ねるといっても、少なくとも30歳までには留学されるのをお勧めします。なぜならMBAホルダーとなった後から35歳になるまでの期間がポイントだからです。35歳時点には、「ただMBAで学んだ」というだけでは不足で「MBAで学んだことを活かし、○○○を成し遂げた」といえる実績が必要になります。

30歳までに留学していれば、2年制のビジネススクールに入ったとして卒業時には年を重ねても32歳。35歳になるまでに約3年間あります。3年の時間があれば、何かひとつかふたつ、語れる実績をつくることは可能でしょう。28歳で留学すれば、この留学後の時間が5~6年あることになり、さらに実績をつくる機会が広がります。つまり、35歳時点でその後のキャリアを選択するカードを1枚持つのか、2枚か、3枚か…いずれを望むかの問題になります。

また、留学時期の決断をされる際には、以下のポイントについてもじっくりお考えください。

  • 現在の仕事に感じておられる面白みとは、つきつめれば何なのか?
    (それは、MBA留学で発展させられる種類のものか?)
  • 現在の仕事を続けた場合、どの程度、人材市場で評価される力・スキルが習得できるのか?

ご質問にもあるように「プロになる」ことは、ご自身のキャリアの市場価値を担保する上で大変重要です。しかし、必ずしもMBA取得前に何らかのプロとなっている必要はありません。その点は、ご安心ください。

なぜなら、何らかの分野のプロであるなら、MBAホルダーでなくとも十分にキャリアディベロップメントの余地があるからです。ですから、現在のご年齢であれば、MBAに留学してからプロのキャリアをスタートさせると考えられればよいと思います。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)