転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第1回
2006.09.05

転職は、28歳のいま?30歳でマネージャーになってから?

現在、28歳で消費財メーカーのセールスをやっています。
実績も自信もありますが、年功序列制度の中、マネージャーになるにはあと2年は待たなければなりません。

また、マーケティング職、あるいはしっかりマーケティングを行っている会社のセールスマネージャーを目指したい気持ちもあります。(現在の会社はマーケティング戦略がなく、セールスサイドで自己流に行っており、そのような状況への不満もあります)

28歳のいま、転職を考えたほうがよいでしょうか?それとも30歳でマネージャーに昇格してから、転職へ踏み切ったほうがよいでしょうか?

Answer

私がいつも申し上げるキャリアデザインのポイントに「適材」「適所」「適時」があります。その中でも特に見落としがちで、かつ重要なのは「適時」だと考えています。

この方の場合、28歳で転職すると、20代のうちに新しいオポチュニティを手にして新たなスタートをきることができます。

また、転職市場における転換期=35歳までに7年間の余裕があることになります。転職市場は35歳をさかいに募集型からスカウト型へと変わり、それまでにどれだけ市場性のある(スカウト対象となりうる)キャリアを形成できているかが問われるのです。

その意味では、この7年間はスキルを上げ、実績を作るのに十分な時間であり、28歳で転職をする大きなメリットといえるでしょう。

一方、30歳で転職した場合のメリットとは、どのようなものでしょうか?

もし目論みどおりマネージャー職となっているなら、転職先でも同様のマネージャーとして迎えられる可能性が高くなり、よりやりがいある職務・職責を手にできるといえます。ただ、目論みがはずれてマネージャーに就けていないとしたら…不満を持ちながら過ごした2年間を取り戻すことはできず、かつ転職した場合にもマネージャー職で迎えられるとは限りません。

以上を踏まえ、冷静にご自身の状況を分析してみてください。


また、別の視点でも考えてみましょう。
ご自分のコア-コンピタンスとは何でしょうか?何にしていきたいとお考えですか?

現状の強みは“セールス”だと推察しますが、自己流で取り組まれている“マーケティング”を本気で学び、コア-コンピタンスにしたいとお考えなら、学べる環境へ移ることが最優先となりますね。この点もいま一度、自分に問うてみてください。

それから、この方はキャリアを考える際に時間(ご自身の年齢)について20代の時点から強く意識されており、とても素晴らしい気づきだと思います。ぜひ、この気づきを一歩進め、年齢軸を加えた『キャリア設計』に落とし込まれるとよいでしょう。

というのも、今回のご質問からはキャリアゴール像が感じ取れないからです。
普遍のものを設定できなくてもかまいませんから、まず現時点でのゴールイメージを明らかにし、ご自身にとっての「適時」や「コア-コンピタンス」について考え、転職のゴールは何なのか、実際の機会(ポジション案件)を知った上でご判断されることをお勧めします。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)