転職コラムコンサルティングの現場から

メールマガジンに連載させていただいたコラムのバックナンバーです。
転職市場、そしてキャリアコンサルティングの現場で起こる日々の出来事から、成功へのヒントを感じていただければ幸いです。

コンサルティングの現場から 第34回 
2006.06.01

あなたも社長になれる?!

5/31付け日本経済新聞の朝刊第一面の特集記事『日本を磨く』に、ソフトバンク社長の孫 正義氏のインタビューが掲載されていました。

「若者が成功を目指してリスクを取り、挑戦していくことでこそ日本にも活力が生まれる」という趣旨で話はまとめられていました。日本でもベンチャー市場が定着し、最低限の仕組みは定着しつつあるので、もっと多くの人にチャレンジして欲しいというメッセージが込められていたように感じます。

キャリア相談の中でも「将来起業したい」とおっしゃる方はいらっしゃるのですが、まだまだ数は少ない状況です。今年の年初のコラムでも同様のことを書きましたが、起業をしていく『イノベーター』と、そういった方々に共感し、ともにチャレンジしていこうという人がもっと増えてもよいように思います。

国(政府)もそう考えているのか、この5月に会社法が新しくなり、会社を作ることそのもののハードルはたいへん低くなりました。(法務省民事局のHPでは、「最近の社会経済情勢の変化への対応等の観点から最低資本金制度、機関設計、合併等の組織再編行為等、会社に係る各種の制度の在り方について、体系的かつ抜本的な見直しを行っています」と説明されています。)

まだご存知でない方もおられると思いますので、会社設立に関わる点でどのような部分が変わったのか、簡単にご案内させていただきます。

●資本金は1円でもOKに!

    最低資本金という制度がなくなり、これまであった「株式会社なら1,000万円、有限会社でも300万円」という資本金の準備が不要になりました。インターネットビジネスなど、資金をそれほど必要としないビジネスが増えていることを背景に、「実情がどうであろうと1,000万円の資本金が必要」ということがなくなったのです。

    実はこれまでも(2003年から)資本金1円で株式会社を作ることは特例で認められていましたが、設立から5年以内に資本金を1,000万円以上にしなければならないという条件がありました。新会社法ではこの制約もなくなったので、一気に会社を作って運営していくことが容易になりました。

 

●社員は社長一人でもOK!

    従来、株式会社を設立するのには取締役3名以上、監査役1人以上からなる取締役会を設けなくてはなりませんでしたが、この制約がなくなりました。これで、いままで最低4人が必要であった株式会社が、代表取締役(社長)一人でもOKになったのです。(その際は、株式譲渡制限会社とする条件が必要になります。またこれまであった『有限会社』は今後設立できなくなります。現在ある有限会社は今後そのまま有限会社として継続するか、株式会社に変えるかを選択することになります。)

 

以上、2点の変更で、会社設立のハードルはとても低くなったといえます。あとは、ビジネスのアイデアをまとめ、必要な手続きをするだけ……社長になるのそれほど難しくはないかも?