転職コラムコンサルティングの現場から

メールマガジンに連載させていただいたコラムのバックナンバーです。
転職市場、そしてキャリアコンサルティングの現場で起こる日々の出来事から、成功へのヒントを感じていただければ幸いです。

コンサルティングの現場から 第21回 
2006.02.23

転職は「環境」で決める

仕事を選ぶ、あるいは続けていく上で「給与・報酬」、「職務内容・職務機会」と同等以上に重要な要素があります。それは『環境』です。

『環境』と聞くと、オフィスの場所やファシリティ、快適さ、交通の便などをイメージされるかもしれませんが、仕事における「環境」とは、主に「上司」と「組織の文化・風土」のことを指します。

今回はキャリアを考える上で非常に重要な「環境」について考えてみたいと思います。

転職を決めた理由に「上司と合わないから」「尊敬できる上司・先輩がいないから」などを挙げる方が多いのに、転職先を決める際に「上司で選びました」という方は意外と少ないという話を以前書きました。

同様に、「企業文化や社風で決める」という方も少ないのですが、実はこの2点の方が目先の「報酬」や「職務内容」よりも重要になります。

理由は単純で、この『環境』が良いと、将来にわたっての職務機会や報酬が格段によくなるからです。

大学卒業後、大手企業へ入社されたほとんどの方は「配属」によって職種が決められ、その後も「希望は言えるが、結局、仕事内容も上司も選べない」という制度の中に入ってしまい、「上司を選ぶ」という感覚を持てずにいるのかもしれません。しかし、転職という選択肢も含めて考えれば、上司は選べるものです。

ついつい給与などの条件面、目先の職務内容に目が行きがちですが、「この人(上司)と一緒に働きたいか?」「この人を信頼できるか?」という観点で仕事を選ぶことをお勧めします。

よい方のもと、学びながらどんどん仕事を任せてもらえる……これは大変重要ですね。

また、企業文化・風土はなかなか見えにくいものですが、しっかりと見極めることが大切です。社是や社長の言葉に表れることが多いので、少なくとも「社長が普段どんなことを言っているか?」については調べるとよいと思います。

今や実に多くの起業家、経営者を輩出していることで有名なリクルートでは、かつての社是でもある「自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ」との言葉に表れている通り、常に新しいことにチャレンジできる風土があります。

私も多くのリクルート出身の経営者やビジネスリーダーとお付き合いがありますが、皆さん、リクルート内での当時の仕事はまちまちながら、同社で培ったチャレンジ精神や実行力を土台にキャリアを構築されているように思います。

ほかにもGEグループはグローバル経営者、ビジネスリーダーの輩出で有名です。同社は人材育成に時間とお金を惜しみなくかけていて、仕事を任せ、人を育てるという風土が強くあります。GEバリューという明文化されたものもあります。

たとえば、リクルートのような風土のある会社であれば、極論ですが入社時の職務内容はそれほど重要でなくなります。入社後に自分でキャリアを作ることが可能だからです。

昨今、求人が激増し、一人の方が複数社からオファーをもらうケースが増えています。同時に提示される条件が良くなることも多く、ついつい大切なことを忘れがちになるようです。

転職は『環境』で決める。
それを意識していただければ間違いはないと思います。