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転職コラムコンサルティングの現場から
メールマガジンに連載させていただいたコラムのバックナンバーです。
転職市場、そしてキャリアコンサルティングの現場で起こる日々の出来事から、成功へのヒントを感じていただければ幸いです。
コンサルティングの現場から 第12回 2005.12.01
自分で自分を褒めたい!
1996年のアトランタ五輪の女子マラソンで、有森裕子選手が見事銅メダルに輝いたとき、「自分で自分を褒めたい」と発言して話題となりました。ご記憶にある方も多いのではないでしょうか。
このような自分に対するポジティブな評価や自分を好きになる力・受け入れる能力は、ビジネスにおいてもたいへん重要だと思われます。心理学・行動科学の用語では「セルフエスティーム(自己評価)」という概念で説明されています。
例えば、自分をポジティブに評価している状態、自分を好きでいられる状態を「セルフエスティームが高い」と表現します。
キャリアをうまく展開し、楽しく生き生きと仕事をしている方々と話をしていると、皆さん「セルフエスティームが高い」あるいは「安定している」という傾向があることに気づきます。
必ずしも「自分に絶対の自信を持っている」ということではなく、むしろ「そんなにすごい自分ではなくとも、ありのままの自分を受け入れている」「自分を信じている」という表現が適切かつ分かりやすいかも知れません。
キャリア展開がうまくいっている方に理由を聞くと、しばしば「たまたま」とか「運良く」という答えが返ってきます。客観的に見ると決して「運」だけでうまくいったわけではないのですが。
そうした表現の深層には、「決して私自身がずば抜けて優れているわけではないが、私には幸運に恵まれる資格がある。それだけの努力をしてきたし、自分がやってきたことを信じている」という心理背景があるようです。「運が良かった」という、ある種控えめなコメントも、「セルフエスティームが高い、あるいは安定している」からこそのものだと思います。
セルフエスティームの高い方(安定している方)がうまくいく本質的な理由は、
- ありのままの自分を受け入れ、今後の自分の課題や問題点に気づき、それに対処している。
- 自分を信じ、自分のできることをしっかりとやりきっている。
防衛機制(言い訳のようなもの)が少なく、コミュニケーションがスムーズであり、周囲と協力関係を築く力が高い。
というような点にあります。
一方、うまくいっていない方のお話を聞いていると、「今の自分は本来の自分ではない」「本来の自分はもっとできる」とか「あの人より私のほうが優秀なのに」などの言葉が出てきます。理想と現実のギャップを感じ、他者との比較で悩まれているような、自分に対しネガティブな表現を使われることが多いようです。自分自身への理想が高すぎると、ついついこうした悩みに陥ってしまうと思われ ます。
ご参考までに、セルフエスティームについてよく説明されている書籍をご紹介いたします。
- 『自己評価の心理学?なぜあの人は自分に自信があるのか』紀伊國屋書店クリストフアンドレ(著)、フランソワルロール(著)、高野優(翻訳)
- 『自己と組織の創造学?ヒューマン・エレメント・アプローチ』春秋社ウィルシュッツ(著)、斎藤彰悟(監訳)、到津守男(翻訳)
あなたは今、『自分で自分を褒めたい!』と感じていますか?