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転職コラム転職市場の明日をよめ
アクシアム代表/エグゼクティブ・コンサルタントの渡邊光章が、日々感じる転職市場の潮流を独自の視点で分析しお伝えします。(※不定期更新)
2022年10月~12月 2022.10.06
40代の重要性~求人市場が40代に求めるものとは?~
今回は、20代・30代に比べてハイライトされる機会が少なくなりがちな『40代のキャリア』について考察してみたいと思います。少子高齢化が進み、労働者人口が激減する中で、40代の方々がいかに重要となっているか、またどのような40代が求人市場で求められているかを述べようと思います。
いまなぜ40代の人材が重要と考えるかといえば、第一に、2つの異なるキャリア観を持てる(持っている)世代であると思うからです。時代背景として、現在40~49歳の人材は概ね大学の卒業が1995年から2004年あたりとなり、バブル崩壊後に社会人となりキャリアをスタートした方たちになります。20代後半には、間接金融が主流であった企業財務に直接金融が登場し、日系企業でも本格的な資本流動が始まりました。まさに大きな変化の波を初めて被った世代といえます。
彼らの上の世代は、いわゆる終身雇用・年功序列といった“昭和時代のキャリア”の考えに基づいて人生を構築してきた人々です。一方、彼らの下の世代は「ミレニアル世代」とも呼ばれ、昭和時代とは全く異なるキャリア観を持っています。それゆえ40代の方々は、その両方の価値観を理解できる層といえます。その双方の橋渡しができるというのは、案外重要なのではと思うからです。
第二に、「若者=まだまだ人生の時間があり、固定概念に縛られずチャレンジできる余裕のある層」と、「シニア=知識・経験が積みあがっているものの、残り人生の時間が限定され、固定概念にとらわれがちな層」との中間に位置し、その双方が持つバリューを出せる年代といえるからです。これまで培ってきた20年余の知見や経験をストレートに活かすことも、経験の延長として新しいことに挑戦することもできます。また場合によっては、全く新しいことにまだチャレンジもできます。これまでの20年も、未来の20年も、両方を手にしている年齢層なのだと思います。
実際、求人市場で過去に見られなかったようなチャンスが40代に巡ってきています。これまでであれば30代をターゲットとしていた求人が40代もスコープに入れ始めたのと同時に、50代向けであった求人が40代の方へ下がってきているように感じます。企業の目論見として、若い世代を率いるビジネスリーダーに、若い世代と同様の高いデジタルリテラシーを持ち、かつ50代が陥りがちなリスクアバース(リスク回避)的傾向を示すことが少ないと思われる40代を求める流れなのでしょう。
新たな財務・経営管理手法の導入、ガバナンスの変化、CX(カスタマーエクスペリエンス)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、破壊的なイノベーションへの挑戦など、現在の企業経営には様々な課題があります。それに加えてコロナや戦争という未曽有の出来事があり、過去の経験だけでは解決できない課題に直面している企業も多くあります。そのような状況下では、より40代の人材が求められ、活躍できる余地が出てきているのかもしれません。
大企業や中堅企業だけでなく、スタートアップを含むベンチャー企業からも、ミドルマネジメントやCxOの求人が数多く出てきています。40代の方にとってのキャリア機会は、確実に広がっています。
しかしながら、初めての転職に戸惑って最後の一歩を踏み出せずチャンスを逃す人、ベンチャーや企業再生でのポジションに転職するのであれば「それなりの報酬やタイトルを提示してもらいたい」と考えて固執し、機会を失う人も散見されます。キャリアにおいても、リスクアバース(リスク回避)的な考えは歓迎できません。「納得できる転職先が見つからない」のではなく、見つけられない思考に陥っていないか、注意が必要です。アップサイドリスクを投資家とともにテイクするように、一旦年収は下がっても現株やストックオプションを獲得しておき転職後に自分で成果報酬を得る、というような考え方も時には必要です。実際、そのような思考のもと、キャリアを大きく飛躍させる方が増えている印象です。
ですからぜひ40代の方には、自らの知見、経験、実績を因数分解した上で、戦略的に業界や職種や職位(タイトル)を選び、大いにチャレンジいただきたいと思います。人生のピボットに成功すれば、混乱期といえるこの時期に、この先20年の起点をきっと作ることができるはずです。
コロナや戦争に翻弄される現在の社会の中では、うずくまり、安定を求めて守勢を固めがちですし、そうすべき場合もあるでしょう。ただこの先も円安、戦争拡大、金融市場の不安など懸念材料は多々あり、リーマンショック以上のショックが起きても、もはや驚くに値しません。底の底がまだあったとしても、希望や展望を持てる40代、そのような言葉を持ってリーダーとして語ることのできる40代こそが、求人市場で求められています。「四十にして迷わず」といえる40代こそ、いま求められているのです。
関連情報
コンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント
留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)