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転職コラム転職市場の明日をよめ
アクシアム代表/エグゼクティブ・コンサルタントの渡邊光章が、日々感じる転職市場の潮流を独自の視点で分析しお伝えします。(※不定期更新)
2006年 1月~3月 2006.01.10
“検索”社会におけるインタビューの重要性
個人がインターネットで仕事を検索することが普通になってしまった昨今、さらに採用側の事情も変わってきたことをお気づきですか?個人が単語で検索するように、採用側も単語で人材を検索するようになりました。
これは決して、求人・求職サイトにおける企業側の行為に限ったことではありません。サイトに登録された個人を検索するサーチ会社のキャリアコンサルタントも同様です。大手企業に応募された方々のデータが即時データベース化されていく今の時代、数千名という人材から個人を識別せざるを得ない状況から起き始めている事象といえます。
「再生」「プライベート・エクイティー」「PE」「戦略」「経営」「カバレッジ」「未公開」「ゲノム」「IR」「IP」「IPO」「PFI」「SAP」「CRM」「SCM」……これらの単語の共通点がわかりますか?これらの言葉は履歴書データを検索する際のキーワードとして、現状よく使用されるものです。
本質的には、そこに書き込まれた内容こそがインタビュー(採用面談)に進むかどうかの判断基準に違いないのですが、意識的にこれらの単語を履歴書の中に入れる要領の良い人も出てきています。彼らはたとえ社内で呼ばれている名称と違う場合にも、一般的に理解可能で、かつ先端事情や市場・技術などに精通していることを示唆する単語を使っているのです。
もちろん、採用側もそのような目論見があることを踏まえて履歴書の中味を見ようとします。しかし、残念ながら中味が十分にあって優秀な人材でも、上記のような単語に無頓着なばかりに、ファーストステップである“検索”にかからずインタビューまで至らない、ということがあるのも事実です。
人は人に会って話してこそ、そのコンピテンスが理解できます。ですから、まず「会う機会」を手にすることが重要です。
長々と自叙伝のように書かれている履歴書や時代を意識した単語のひとつも入っていないレジュメでは、いかに本質的な中味が素晴らしくとも、検索にかからずインタビューにも呼ばれません。逆に、採用側が求めている単語・数字を的確に使っている人は、検索にかかってその中味が理解されやすく、インタビューに進む可能性が高くなるのです。
便利な“検索”社会の一方で、依然として採用の最重要ポイントがインタビューであることには変わりありません。例えばサーチ会社のコンサルタントや企業の人事部長の評価がやや低めの履歴書であっても、会って話す機会を得られれば、役員や社長の目に留まって採用されることはたくさんあるのですから。
求人数および転職マーケットに入る個人が昨年以上に増加していきそうな2006年。多くの人が新しいキャリアに出会われるでしょう。そして新しいキャリアは必ず誰かに会うことから始まります。しかし、案件が多ければ多いほど、個人も企業も人に会わずにデータ中心で選んでしまうことが起きないかと危惧しています。
転職マーケットの好況に、あえて以上のような警鐘を鳴らしつつ、多くの人に良きキャリアが訪れることを願っています。
関連情報
- 「総務省・統計局」平成17年11月の完全失業率『4.6%』(12月27日公表)
- 「厚生労働省・職業安定局」平成17年11月の有効求人倍率『0.99倍』(12月27日公表)
コンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント
留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)