転職コラム転職市場の明日をよめ

アクシアム代表/エグゼクティブ・コンサルタントの渡邊光章が、日々感じる転職市場の潮流を独自の視点で分析しお伝えします。(※不定期更新)

2004年 10月~12月 
2004.10.01

辞めたいだけが転職の動機じゃない

求人市場の動きが活発になっていることは、知られるようになってきましたが、まだ個人の動きは見えません。特に大きな会社にいる人々が、現職に対して自信を持ってきたことは良いのですが、だからこそチャンスとはみなしていない状況です。辞めないといけない。辞めたい。ということだけが、労働市場の転職動機になっている限り、この国の未来は未だ暗いとしかいいようがありません。

自分の将来のプラン、展望はこうです。現職もいいが、より自分の展望が実現できるものがあれば、まずは意見交換からでも行動をもって決断する人が増えて欲しいものです。

日本の大手企業間でトップマネジメントの転職が始まりましたが、まだまだ決して多くはありません。マネジメントレベルの人材流動こそが日本の再生に不可欠だと思われます。

前期から多くなってきた日系企業からのニーズは、このような公開を目指すCFO、MBO後のCEO、成長戦略をマネジメントするCOOなどといった求人が目立ちます。若手幹部候補という求人も引き続き多い状況です。

今年4月~6月の四半期でみると人材紹介業の業界全体での求人数の増加は前年同四半期のおよそ20%増、アクシアムにおいては、実に50%増にもなっています。

この冬に向けては、9月、10月に行動した個人が有利だと思われます。採用側も個人も11~12月のボーナスがタイミングイシューだと思っている人が多いのですが、市場の理屈は、ボーナス時期ではなく、事業戦略、採用戦略に従う求人活動です。

スタッフレベルの人材採用であれば、まだ採用側もボーナス時期を考慮して、採用活動を計画していますが、マネジャー、マネジメントは、ボーナス時期にかかわらず、通年で発生するようになってきており、あくまでも企業毎の戦略次第といった状況です。

2005年に向けて、求人はこのまま増加していくのかどうか、まだ断言はできませんが、求人が減少することを示唆するような経済指標は、今のところないようです。

リストラという単語はあまり使われることがありませんが、再生という単語はまだまだ増えるでしょうし、早期退職プログラミングの発動は、まだまだ続くと思います。

関連情報

コンサルタント

渡邊 光章

株式会社アクシアム 
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

渡邊 光章

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)