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10年後、あなたはどの産業にいますか?
転職コラム転職市場の明日をよめ
アクシアム代表/エグゼクティブ・コンサルタントの渡邊光章が、日々感じる転職市場の潮流を独自の視点で分析しお伝えします。(※不定期更新)
2003年 4月~6月 2003.04.01
10年前、あなたはどの産業にいましたか?
10年後、あなたはどの産業にいますか?
総務省が発表した2003年2月の完全失業率は5.2ポイントで、完全失業者数は349万名であった。1月の5.5ポイントよりも低下して、失業者数が減少したようになっているが、これは転職を目的に、自発的に勤務先から離職して求職活動を行う人が減ったからと見なされており、雇用情勢は引き続き厳しい状態である。そもそも10年前の1993年、バブルが崩壊した時期、失業者は144万名程度であったので、この10年で概ね200万名増加したことになる。
アクシアムが受託しているサーチ型、すなわち求人者側の案件は、明らかに目に見える製品を提供している産業よりは、目に見えないサービスを提供している産業の求人が数倍以上にも達しているが、今一度、日本の雇用のあるべき姿を産業別雇用者数の変遷の実態を「総務省の労働力調査」のデータから考えてみたい。
1993年12月 | 2003年12月 | 増減 | |
---|---|---|---|
産業全体 | 5,181 | 5,494 | +313 |
建設業 | 503 | 623 | +120 |
製造業 | 1,376 | 1,208 | -168 |
運輸通信 | 377 | 415 | +38 |
卸売小売飲食 | 1,137 | 1,436 | +299 |
サービス業 | 1,240 | 1,812 | +572 |
現在、製造業に1,208万名が就労しているが、すでにサービス産業に就労している1,812万名となり、すでに製造業に就労している人口をはるかに上回っている。
知的情報サービスや、心温まるサービス、コンサルティングサービスなど、様々なサービス産業が雇用を拡大していることがわかる。
しかしながら弊社にも、飽和状態となった製造業に就労を希望する人が後を絶たない。需要側の声を考えて、雇用の供給側である個人はそのキャリアを考えてみて欲しい。
ものづくりの大切さ、失ってはいけない技術、さらに推し進めてゆくべき製造技術やプロセスは存在する。しかし、目に見えないサービス産業こそ、世界市場での競争力が問われるのだと思われる。
アトムが手塚治虫の頭の中で生まれたのはずっと昔のこと、2003年4月に誕生したアトムはあまりに有名だが、その2003年、現実には「千と千尋の神隠し」がアカデミー賞を受賞し、日本のソフトがさらに海外から高く評価されている。1000年でも2000年でも引き継がれる木造技術の集大成でもある世界最大の木造建築、法隆寺金堂も2003年3月に建立された。これからも目に見えない製造の技術、ソフト、あるいは知識といった付加価値産業が生み出す雇用のマーケットを見つめてゆきたい。
学校を卒業しても未就職者になる率は高校卒業者で10.5%、大学卒業者で21.7%あり、10年前に比べて、4倍程度に増加している。また就労しても、3年以内に離職する人の数は、高校卒業者で46.8%にものぼる。大学卒業者でも32%にもいたっている。この数字も10年前に比べ、いうまでもなく増加の一途である。
ジョブマーケットの流れの傾向として、会社をやめてフリーで求職活動をする人が減少したことは好ましいことである。フリーで求職活動することは極力避けたいところである。また、以外に知られていないが、年齢別での求人倍率の高さから言えることとしては、もっとも求人が多いのは、24歳以下である。
~24歳以下 | 1.09 |
---|---|
25歳~34歳 | 0.67 |
35歳~44歳 | 0.87 |
45歳~54歳 | 0.36 |
55歳~59歳 | 0.18 |
60歳~ | 0.16 |
しかしながら、市場に合わせて24歳までに転職しろと言うつもりはない。24歳以下で若さや潜在能力だけを売り込むのは決して好ましいことではないと考えている。25歳以下の人への提案としては、25歳から28歳位の年齢層になってから、若さだけを売り込めなくなってからの転職ができるかどうか?を25歳までに考えておくことが重要だと考えている。あるいはマネジメントへのステップとして重要な35歳までに、しっかりと実績で証明できるスキルを実務で勝ち取った人には、35歳から44歳までの人材層で主流となる、スカウト主体の求人に合致することが可能になるということである。これを逆にとらえてしまうと、35歳になってから転職したほうが34歳までよりも求人倍率が高いので売りやすいというような誤解が生じる。35歳までは応募が可能だが、35歳以上はスカウトの対象になるような実績がある人材、かなり高い専門性や、マネジメント人材への求人がメインになってくるということである。
適材、適所に加え、「適時」も当然と言えるキャリア形成を心がけたいものである。
関連情報
- 「総務省・統計局」発表、平成15年2月の完全失業率『5.2%』
- 「厚生労働省・職業安定局」発表資料、平成15年4月の有効求人倍率『0.61倍』
コンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント

留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)