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転職コラム転職市場の明日をよめ
アクシアム代表/エグゼクティブ・コンサルタントの渡邊光章が、日々感じる転職市場の潮流を独自の視点で分析しお伝えします。(※不定期更新)
2002年 10月~12月 2002.10.01
20代の活性、40代の求人
弊社にもこの夏ぐらいから、40代前半の求人が見受けられるようになってきました。これは明るい話題です。以前は35歳以下が圧倒的でしたが、40代前後にも光が差し始めました。
一方、20代向けの求人は多いのですが、逆にキャリア形成に積極的な20代が少し減少している気がします。これはクリティカルな課題です。
40代の求人というのは、ちょうど職歴として20年ということですから、それなりの実績に加えてマネジメント経験が必要です。具体的には、米系の企業で10ヶ国程度、200名のオペレーションを行うことになるアジアパシフィック地域のマネジメント、というようなポジションになります。支社長ということではなく、ある商品についての統括的なディレクターポジションになります。しかしながら、日本の大企業内のキャリア経験では、部下をリードしてアジア市場を担当していたなどというスケールの人材が少なく、結局、シンガポール、香港出身者がそのポジションを獲得してしまいます。また、金融向けサービスの立ち上げ、公開企業のCFOの下で経営企画と管理、ブランドメーカーのディレクター、公開企業のCIOなどなど、実績とマネジメント経験が両方必要とされています。
一方、20代向けの求人はかなりの量があり、個人にとって非常にチャンスなのですが、逆に保守的な傾向が出てきて、あまりリスクをとらなくなってきました。展職に興味を持ちつつも、ポジションを調べて自分が求人対象となっているタイプであることを確認するだけで、作業が止まってしまう人が大多数です。
35歳以降の目的のためにキャリア形成を考えるのではなく、現在が安定しているように思えれば満足してしまい、そのことで逆に将来に対して大きなリスクを負っていることを理解していないタイプが増えてきました。
これらは求人対象となるスキルをもった人達の傾向ですが、スキルが不足しているタイプの方の就職活動は、当然ながらそれよりもさらに大変な状況です。
現在、年齢に関係なく、250万名もの求職者が市場にあふれていますが、スキルも経験も充分備わっているのに職が見つからないというのが、一番大きな問題です。
そのような方には、以下のようなアドバイスをしています。
- 求人雑誌は求職雑誌ではないので、顕在化した求人情報しか扱っていない。
- 従ってそれら求人雑誌だけに頼る必要はないし、そもそもミドル以上のための雑誌ではないということを理解してください。
- 潜在的な求人を探す活動を行い、自発的に求人企業、求人案件を発掘することに時間をかけるべき。
- 人に会う。
自分を必要とする市場を、充分に検討してみましょう。
関連情報
- 「総務省・統計局」発表、平成14年8月の完全失業率『5.4%』
- 「厚生労働省・職業安定局」発表資料、平成14年8月の有効求人倍率『0.54倍』
コンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント
留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)