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転職コラム転職市場の明日をよめ
アクシアム代表/エグゼクティブ・コンサルタントの渡邊光章が、日々感じる転職市場の潮流を独自の視点で分析しお伝えします。(※不定期更新)
2002年 4月~6月 2002.04.01
テロの余波と克服へのリアリティー
テロ、金融、IT不況の余波は依然として続いている。そんな実感を改めて身に感じています。
アクシアムでは恒例の欧米ビジネススクールでのキャリアデザインセミナーの開催を昨年9月のテロの影響で延期しておりましたが、遂にこの4月に16校150名の米国の学校でMBAを学ぶ方々と現地でお会いすることができました。ここまでお待たせしてしまったことを深くお詫びいたします。
しかし、この時期に行くことによって改めてテロが残した傷跡の大きさ、深さを感じることができました。予想に反して(というか予想以上と言ったほうがよいでしょう)就職環境は困難を極めていました。日本人はおろかNYの学校ではローカルの学生の60%しか就職できていないという状況です。このような状態は92~3年のバブル崩壊直後の状態と同等かそれ以上の惨状との評価を各学校のキャリア・マネジメント・オフィスの方々は言っていました。
経済、政治の影響は産業の動向だけでなく、最終的には人材の入り口をも変えてしまいました。この影響は企業の側にも如実に表れ、これまでFinance、HRの側面からの人材の強化が中心であった企業を一挙にセールス・ドリブンに変えてしまいました。MBAホルダー、そして今後トップを目指していく方は要注目の傾向です。これからしばらくはいろいろな意味でセールス力のある方の発言力が更に強まりそうです。
話を元に戻しますと、そんな厳しい環境の中でも就職先を首尾よく確保しているMBAもたくさんいらっしゃいました。何故同じ環境にいて、就職先が見つかる人と見つからない人がいるのでしょうか?今回はランキングどおりでもありません。しかし、あって話をしてみると、”無理をしていない”と言う点が共通しているようでした。政治・経済環境が混乱している局面では、企業が求めているものと自分が出来ること(したいではなく、そして出来ると思われることでもなく)を確実に擦り合わせることが出来る人が強いと言えます。思い切ったキャリアチェンジをしている人はいません。皆、前職との関連性を大切にし、早期にそして確実に自分が会社に貢献できることを理解して仕事を決めているという印象です。企業のスタンス・傾向によって、それにあわせて自分を見せられる柔軟さ、これは普遍的にMBAにいえる能力の一つと言えます。しかし今回はそのタイムスパンの捕らえ方が前例がないほど短いアウトプット重視のために個人の側で対応できる人と出来ない人にわかれてしまったのではないか?改めて危機管理能力や自己変革の難しさを見たような気がします。
関連情報
- 「総務省・統計局」発表、平成14年4月の完全失業率『5.2%』
- 「厚生労働省・職業安定局」発表資料、平成14年4月の有効求人倍率『0.52倍』
コンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント
留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)