- MBA転職・外資系求人(HOME)
- 転職コラム
- 転職市場の明日をよめ
- ちょっと変化してきたかな?
転職コラム転職市場の明日をよめ
アクシアム代表/エグゼクティブ・コンサルタントの渡邊光章が、日々感じる転職市場の潮流を独自の視点で分析しお伝えします。(※不定期更新)
1996年 10月~12月 1996.10.01
ちょっと変化してきたかな?
総論として、大企業では人材過剰ぎみ、中小企業では人材不足、ベンチャーではなおさら人材不足といった状況が続いています。しかしながら97年以降の傾向に繋がる労働市場の変化が起っていますので、そのさわりをお知らせします。
大企業中途採用復活の兆し
但し中途採用を実施しても本当に適宣な人事評価なり人事戦略を持ち合わせているとは思えません。40%程度の大企業では実力主義が導入されつつありますが、まだまだ人員の余剰感は消えそうにありません。80年代後半、活発だった中途採用者の経緯をみても、その多くが不満であったり既に退職しているケースも多いのです。日本の大企業の組織には未だに外部からきた者を疎外してしまう傾向が残っています。単に新しい技術などが必要だから新しい情報を備えた、若い低賃金の技術系を採用すると言うのでは困ります。40才以上で早期退職プログラムに従い、退職した方々が納得できるはずがなく会社全体の士気が下がってしまいます。大企業の人事の方々は人事政策で正念場を向かえていると言えます。早期退職プログラムの前に縁故採用をやめる方が優先でしょう。
ベンチャー企業、外資系日本参入企業の社長を求む
と言っても注意しないといけない案件が多くなります。最近、弊社にもこの手の要請が多くなってきましたが、中にはお断りしなくてはならないケースが目立ちます。何故なら、実際に詳細を聞いてみると「社長として出資して欲しい」なんて都合の良い話で、「求人」ではなく、「求資本」だったりする訳です。求資本でもなく求融資であるケースなど言語道断です。この手の話は人材紹介会社を通じてよりも、ビジネスアライアンスを主とするコンサルタント会社が個人に持ち込む事が多い案件です。「優れた商品があります。誰か社長になってみませんか?事業計画は私が書きます。」なんてストーリーです。経営管理職にあった人が現在フリーにある場合、面子ばかり重んじて社長しかできないと思い込んでこんな話に乗りがちです。そんな中高年が多発しない様に注意して下さい。コツとしてはパートナーとして株式も持てない案件には手を出さない事ですね。弊社ではこんな要望には一切応えないようにしています。社長と言えども雇われる者であるケースが多く、今後、求人者・求職者、相互に雇用契約を理解して活用していかなければなりませんが、ストックオプションなどを含め、まだまだ企業の制度におんぶにだっこといった形態で、求職者側に知識が不足しています。
アジアの憂鬱
ある外資系企業で地域格差の問題が出ています。日本人支社長なら2500万円程度で済むが、中国人支社長は5000万円もかかると言う話がありました。同様の能力、経験であっても地域による賃金格差が拡大しています。中国に対する投資家側の期待が大きいのか、候補者側の要望が大きすぎるのか、いずれにしてもアジアで希少価値を持った人材は評価が高まる事が予測されます。アジア経済ブロックのマネジャーとなれる日本人は果たして何人出てくるのでしょう。現地の立場を熟知したまマレーのハリマオのようなマネジャーいませんか?
金融機関の動きが始まる
バブル期の採用状況まで戻るとは思えませんが、東京市場が上に向き始めた感じです。弊社求人案件数の推移で申せば、3年前に比べて最近では月当たり1/6に減りました。これが少し活発になると言う感じです。25才から29才で展職を考えている金融マンであれば展職の準備に入った方が良いですよ。30代以上にもなると、外資系では余程の能力と実績でなければ、入社後、長期的に通用しないと思います。さらに間違っても40代以上で展職は考えない方が賢明です。40代は30代より更に能力、実績に加え管理能力が必要で、ハンティングでもされない限り、自分で応募しても可能性は極めて低いと思われます。アナリストやストラテジストの日本企業から外資系企業への展職が今年話題になりましたが、実は大物も動いています。彼等は外資系から外資系です。外資系の中には、世界中の支店に配置される予定のシステム部員を、本部が一括してインターネットでの応募者からのみ採用するほど進んだ企業もあります。急速な市場変化に対応して高い賃金と権限を与える外資系に比べ、日本の金融機関は国際的な採用活動、売れる部門での急激な人材確保で遅れを取る事が懸念されます。市場が戻った時にまた数合わせに終始し、景気が減速したら今度は無能だからと言って削減するような制度は早く改革して欲しいものです。
こんな人がいない。シリーズ3
営業
単純に営業ができる人、営業部門を管理できる人、が少なくなってきたと思います。学歴や経験だけで、営業ができるとは限りません。また以前の会社で成績優秀であった方に限って、会社を変わると成績が下がる人もいます。これは製品の力や組織の力といった複合的な要素の結果、営業の数字が出るからです。社長と営業マンだけが会社の売り上げを上げる訳ではありませんが、商品や環境が変わっても、結果を出せる営業ができる人は、年齢、業界に関わらずいつでも歓迎されます。
景気な時には、専門職希望者が多くなりがちですが、営業職だって立派な専門職だと考えます。企画力、会計的な発想、マーケティング能力を必要とし、経営の一翼を担います。ベンチャー企業の中には、店頭公開する営業職集団の会社も増えてきました。営業ができる人材を企業は普遍的に望んでいます、あまりマスコミにも取り上げられませんが、アクシアムでは、とても大切な職種だと考えます。最前線で企業を支える「営業職」を今一度見直さないと、日本では「1億総考えるだけの人」になってしまいます。
概況
96年8月の有効求人倍率は0.71倍、完全失業率は3.3%
関連情報
コンサルタント
渡邊 光章
株式会社アクシアム
代表取締役社長/エグゼクティブ・コンサルタント
留学カウンセラーを経て、エグゼクティブサーチのコンサルタントとなる。1993年に株式会社アクシアムを創業。MBAホルダーなどハイエンドの人材に関するキャリアコンサルティングを得意とする。社会的使命感と倫理観を備えた人材育成を支援する活動に力を入れ、大学生のインターンシップ、キャリア開発をテーマにした講演活動など多数。
大阪府立大学農学部生物コース卒、コーネル大学 Human Resource修了
1997年~1999年、民営人材紹介事業協議会理事
1998年~2002年、在日米国商工会議所(ACCJ)人的資源マネージメント委員会副委員長
著書『転職しかできない人展職までできる人』(日経人材情報)