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転職コラムキャリアに効く一冊
キャリア開発に役立つ書籍を毎月ご紹介しています。
2017年4月
一生を賭ける仕事の見つけ方
斎藤 祐馬 (著)
まずこの書籍のタイトルにある『一生を賭ける仕事』という言葉と対峙した時に、ご自身の今の仕事を、100%自分がやるべき仕事です、自分にしかできない仕事ですと言い切れる方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。本書は、例えば転職を検討されている方が、「何を軸に次の選択肢を考えるべきか」「その選択は、展望を伴った展職であるか」「そもそも現職を離れる必要があるのか」等、ご自身のキャリアついて悩まれた際に活用いただけるのではと思い、ご紹介をさせていただきます。
まず、著者の斎藤氏は、仕事への考え方を「キャリア志向」「ミッション志向」の2つに分類し「キャリア志向」から「ミッション志向」への切り替えを提案しています。
キャリア志向
・スキルやキャリアを高める働き方
・誰かが定めた基準による相対的な評価のもとで働く
・スキルやキャリアを活かせる仕事を常に探す必要がある
・ライスワーク
ミッション志向
・自分のやりたいことを仕事にする働き方
・理解されない苦しさはあれども、「自分にしかできない仕事」をする
・ビジョンがあり、一生を賭ける覚悟がある
・ライフワーク
「キャリア志向」の場合、常により高い資格、スキルを持った人や、今後は AI、ロボットなども含め、取って変わられる状況を想定しながら生きていくことになってしまいます。一方「ミッション志向」であれば、自分のゴールに向け突き進んでいく努力やエネルギーは必要ですが、誰にも代替されることがないオリジナルの道を歩むことができると説いています。
斎藤氏は、「ミッション志向」を突き詰めて現在の仕事を手に入れられていますが、そこにたどり着くまでの苦労や迷いも含めて本書でシェアがされていますので、簡単にご紹介をさせていただきます。
彼のミッションは「スタートアップ起業家の支援をする」こと。そのミッションに出会うキッカケは、中学生のときに創業したお父様の背中を見て感じていた「スタートアップの起業家を支援してくれる人がいてくれたら」という思いそのものでした。大学卒業後、経営者の支援をすることが可能な公認会計士資格を4回目のチャレンジで取得。ベンチャー支援に強いと定評があった有限責任監査法人トーマツに入社。やっとやりたいことができるステージに来ることができたと思ったところ、当時の大手監査法人が行うベンチャー支援は上場前のIPO支援が主で、斎藤氏の願うスタートアップの支援はできそうにもないと知ったそうです。
ここで、皆さんならどのような選択をされますか?
日々の業務に追われながら、自分の夢をあきらめるか。あるいは否か。この会社にいながら、自分の夢は叶えることができるのだろうか。自分の思い描く夢を実現するには、起業・創業しかないのだろうか…。自分の熱い思いに蓋をして、日々の仕事に黙々と取り組むことを決める人もいらっしゃるかもしれませんし、現職を思い切って辞める人もおられるかもしれません。
様々な思いを抱えながら、斎藤氏は現職にとどまるなかで、最大限投下できる時間を自分の夢のために使う努力をするようになります。平日の夜と週末で、ベンチャー起業家との接点を増やすためアポを取って実際に会いに行ったり、飲み会に参加したり。そんな現職の方向性とは違う斎藤氏の活動を、社内では快く思う方ばかりではなかったそうです。
数年経ってベンチャー起業家とのネットワークも構築できた頃に、休眠していたトーマツベンチャーサポート株式会社を復活させようという話が社内で持ち上がり、スタートアップといえば斎藤だろうということで、プロジェクトにアサインされたとのこと。現在は夢であったスタートアップ支援を行い、ご自身のように「チャレンジする人を支援したい」という思いで社内外での活動の幅を広げられています。
斎藤氏のように熱く情熱を注ぐことができるミッションにまだ出会っていないという方へ向けて、本書では、自分の今まで歩んできた人生の中にあるミッションの見つけ方から、それをビジネスにつなげる方法、ミッションを達成するためのチームメンバー選びのヒントまでが書かれています。
ご自身の仕事に対する考え方、思いを改めて見つめ直す機会としてもご活用いただける内容だと思います。気になる方はぜひご一読ください。