転職コラムキャリアに効く一冊

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2013年11月

シリコンバレー流 世界最先端の働き方
伊佐山 元(著)

スタンフォードMBA取得後、ベンチャーキャピタリストとして30歳から40歳までの10年間で3000名以上の起業家達と過ごした氏は、今、日本のベンチャー起業家と大企業を結びつける新しい試みにチャレンジしている。常に挑戦者たる伊佐山氏の最新の著である。

伊佐山氏も、ベンチャー起業家のみならず、「日本人はもっと”アントレプレナリアル(Entrepreneurial=起業家的)”になるべきだ。」と冒頭から述べておられるように、本書は日本社会にもっと沢山のベンチャー起業家が生まれ出てくるべきだと信じる私にとっては、まったく異論がない書であった。

サンフランシスコ市、パロアルト市、サンノゼ市の間、南北80kmに伸びる世界の起業家が集まるシリコンバレーには、幸福感と前向きなエネルギーに溢れており、成功者もいれば、失敗者にも再度チャンスを与える社会環境があると改めて明言されている。ただ、この地は決して楽園で黄金境ということではなく、この20年の間だけでも、リセッション、倒産、リストラの波が何度もあった。しかし、その魅力は失われることがない。

著書の中で、輝いていたフレーズをご紹介したい。

「自分ができることを積み重ね、自分の環境を変えることが重要」

「学問は社会に役立つことで生きてくる」

「今となってはあのように、寄り道ほど、自分の人生によい影響を与えた経験はない。無用の用を知ることは大切だ」

「技術×教養×人間性=喜び」

「多くの人の意見をもとに家をたてれば不恰好になる」

「シリコンバレーの特徴は、起業家ヒーローが多くいるだけでなく、身近にアクセスしやすい点にある」

「We are going for the fences. 我々は場外ホームランを狙う。空振りでも全力でバットを振る」

「自分のステレオタイプ〔固定概念〕や専門家の意見を忘れること。学んだことを忘れること。」

「ベンチャー投資の世界も、実は論理よりも、感性や人間性を発揮しなくては、良いベンチャーを選ぶことが出来ない時代に突入していると感じる。」

「共感力の強化、なまじ専門的なスキルを身につけるよりも、優先すべきことの一つといえよう。」

「It’s all about people. 全ては人に始まる。あらゆる出会いを大切にする「一期一会」の精神」

「人気のある弁護士、会計士、また創業間もない時期の組織づくりの要であるヘッドハンターは引っ張りダコだ」

「Who you know, who knows you, is what you are worth. お互い認め合っている人間関係があなたの価値を決める」

「理屈ではない、内なる衝動に突き動かされ、それまでの全てを忘れて飛び込んでみたくなるのがベンチャーだ」

いかがだろうか?

私も、キャリアのご相談に際して、常に「人生の成功とは人生の最後にあって悔いのない人生を過ごせた時だ」と信じて、過去にも話をしてきたつもりであったが、同様に、伊佐山氏も王貞治さんの言葉を紹介して、本書のまとめとされている。いわく「成功とはいったい何かというと、自分の悔いのない人生のことなんだよ。後悔することのない人生が失敗のない人生なんだよ。何でもいいんだよ。」

最初から最後まで、納得することばかりで、見事な一冊であった。

シリコンバレー流 世界最先端の働き方 出版社:中経出版
著者:伊佐山 元(著)