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転職コラムキャリアに効く一冊
キャリア開発に役立つ書籍を毎月ご紹介しています。
2013年7月
強運を呼び込む51の法則
本田 健 (著)
ある若者から、「渡辺さんの話は、本田健さんの話に似ている」と言われたことがきっかけで本田健さんのことを知った。
「ユダヤ人大富豪の教え」などの書著として名前は耳にしていたが、スピリチュアル系や宗教的な本などご免だと思いこんで、これまで著書を手にしたことはなかった。しかし、「似ている」と言われたら、「どこが似ているのか」と気になり、無関心でいられなくなった。そんなきっかけで最近になって単行本を買って読んでみた。文庫本は2009年の発行である。
本田氏のファンはかなりの数にのぼり、累計で500万部もの販売を記録している。その点、多くの読者に共感を持っても受け入れられていることはわかる。しかしながら、「似ている」と言われて嬉しい気持ちになれないまま読了してしまった。幸い、本田氏もスピリチュアル系の話には否定的であることから、そのような懸念は拭われたが。
私の主観については横において、本書は、キャリアについて考えている時に読もうとは思わないかもしれないが、「自分に運がない、運に見放されている。」と思う時には、間違いなくすがってしまうことになるだろう。
「運というものは確かに存在する。そして運は良くすることができると言う結論に達した。」と冒頭で断定した上で、本書は始まる。
定まった命ではなく、命は自分で運んで行くこと、選ぶことができるという説明も途中に出てくるが、そのあたりは納得できる。 私がなぜ共感できなかったかと言えば、冒頭から、「強運は呼び込むことができる」と安易に書かれていることである。きっと本田氏の講演などでは誤解されるようなことはないのかも知れないが、活字で「運をよくすることができる。そのための51の法則」と言われれば、懐疑的にならざるを得ない。せいぜい「運を良くするためのヒント」くらいであれば逆に信頼できるのだが、それでは本は売れないのだろう。
さて、ネガティブな私の感想から始まってしまったが、キャリアに効く1冊に選んだ理由は、やはり本書から学べること、気づけることも多いと思ったからに他ならない。
人生で「運が悪い」「努力したのに結果が伴わない、辛い」と思うことは誰でも本当に良くある。能力、経験、立場に関わらず、誰にもそのような時は訪れるものだ。そうした時、この本は救いになり、パワーになり、ヒントになるはずである。
[25] つき合う人の幅の広く深い人ほど運が開ける。
[30] 自分の中の葛藤を「運の発生機」にかえる。
[32] 運のいいメンターをもつことで、いい運を学ぶ。
[42] チャンスに出会わなかった人は一人もいない。
[43] 自分の使命に気づいたとき、運は一瞬にして広がる。
[48] 変えられるのは未来と自分だけである。
51の法則で、読者の皆さんが共感できる法則や実行できる法則が必ずあると思う。
本田氏は、最後に、「いい運をよびこむための法則をまとめてくれている。
- 人間関係をうまく保つ
運がいいか悪いかは、その人の人間関係や人脈の質で決まります。なぜなら、いい運も悪い運も、人によって運ばれてくるからです。 - 感情的に安定する
運のいい人、安定している人は、感情的にも安定しています。
感情的にバランスの悪い人、当たり散らす人は、運気を逃します。 - 環境を良く整える
運は、気の流れのいい環境で起きます。 - 人間について理解する。
いくら一生懸命やっても、本人がすばらしくても、「空気が読めない」と運はつかめません。なぜなら、人は、気分で動いているからです。この4点は非常に共感できる。
最後に著者は、「わくわくすることをして下さい。そうすれば貴方も貴方に縁のある人も最高の幸せにつながってゆくでしょう。強運を呼び込むには、自分らしい人生を生き、才能を分かち合い、縁のある人達と最高の時間を過ごすことです。それが一番です。」と締めくくっているが、私はこの部分には反対だ。言葉だけの揚げ足をとるつもりはないが、まさにこれはスピリチュアルすぎる結論だと思う。なぜなら、「自分らしい人生を生きている人」がいるのであれば、その人達は、すでに不幸ではないし、さらに強運にすることを求めるとは思えないからである。